@odaiji さん曰く、。
一人で映画行くなんて何十年ぶりだろうか・・・。むしろ初めて?かもしれません。
それでも行く気になって観てきた『百日紅 Miss HOKUSAI』がじわりと面白かったですね。さすが天才的な江戸時代の考証家であり優秀な漫画家だった故・杉浦日向子さんの原作作品だなあといったところでした。
映画の感想なんて書き慣れてないもんで、何を書いたらネタバレとか、何を書かないと足りないとか、あんまわかってません。そのあたりはご容赦くださいませよ。ボク的にはネタバレしていないつもりです。
~ 目次 ~
葛飾北斎とその娘・栄(えい)
物語の主人公は江戸時代後期の超絶天才画家・葛飾北斎の娘、栄(えい)。女性ですが彼女自身も画家で、お父さんの仕事を手伝ったり自分で仕事を請け負ったりしています。
アニメーションで、声優はハリウッドスター・渡辺謙さんの娘の杏さん。北斎は孤独のグルメの松重豊さんが担当されていました。
約90分、ほぼ栄の視点で描かれている作品でした。
栄のキャラクター設定はなかなかぶっきらぼうで、杏さんも淡々とした台詞回しをしていました。偉大な父への様々な思いと、何かしら一皮むけない自分の絵に対する葛藤を、その淡々とした台詞回しの中でもうまく表現されていたんじゃないかなあと思います。
季節感・植物感の美しさ
タイトルにもなっている百日紅は、住まいの庭に植わっている木。要所要所で百日紅の花が開いています。また、そのほかのシーンでも随所に季節感を感じられる描写が施されていて、
ああ、江戸時代にいたらこんな風情を味わえたのかねえ
と思えてしまう感じ。さりげない吉原の描写なんかも、繰り返し観ていたら細部に凝ってたりすることがわかるんじゃないかなと想像しています。ブルーレイで観たい。
画調は、杉浦さんの絵そのものではないです。映画としてアレンジされているって感じですね
ロック
劇中の音楽はギターをベースにしたロック。主題歌が最後に流れますが椎名林檎さん。なんかロックな感じですよ。椎名林檎さんファンは、最後まで映画観てください。
たとえばテレビ時代劇「鬼平犯科帳」のエンディング曲がジプシーキングスのインスピレイションという曲だったりしてなじんでいることもあり、僕自身は時代劇とギターベースの曲って結構マッチしているなあと思いました。
また、主人公・栄の劇中での描かれ方は愛があって不器用で、なかなかロックな感じがするんですよね。映画としては近代美術史の映画ではなくって、絵の得意な一人の女子・栄の日々、といった趣がありますので、
まとめ もっと長くても良かったかも
ロックだったり豪華声優陣(俳優陣?)だったりとても楽しめた映画ですが、もう少し長くても良かったかなーという感じです。原作が短編集でそれを結びつけた感じの構成なのですが、同じ「原作が短編集で結びつけた時代物」の『駆込み女と駆出し男』が2時間半の大作だったことを考えても、1時間半は少し短かったような。
15分~20分くらいのブロックが重なって全体のストーリーを積み上げているような感じだったと思うのですが、エピソードを増やすのでも、それぞれのエピソードをより細かく描写するんでもいい。もう少し長くしてくれると、杉浦さんの原作であり、ボクは良くしらないけれど原監督の世界をより深く堪能できたのではないかなと思います。
あと、より楽しむためには原作か、北斎漫画など葛飾北斎の絵を知っておくと良いでしょう。あ、このシーンのこれは北斎の絵だ!っていうのが出てきますからね。
でもね、興味深く楽しく観られましたよ。時代物が好きであれば、先に出した『駆込み女と駆出し男』と併せて鑑賞しておくと良いのではないかなと思います。東京・新宿だったらテアトル新宿(百日紅)と新宿ピカデリー(駆込み女と駆出し男)は徒歩1分ぐらいのところにありますから、ハシゴもできそうですよ。