@odaiji さん曰く、。
先日、新潟の燕市と弥彦村の自治体の方がマスコミ・メディア・旅ライターを招いて地域の名産や名物・すごいものを紹介するという催しにブロガーとして参加させていただきました。
そのときに何か所も連れて行っていただいて、そのときにはそのときの感想もあったのですが、東京に戻って日常の生活に戻っても忘れられない思いがありましたのでそれを書いておきたいなあと思った次第です。
それは、地元の名産や特殊な技術を自治体が推し進めていきたいのであれば、それぞれのエヴァンジェリストをまず育成してくのが近道なのではないかなと思ったこと。
新潟県燕市の例からお伝えしたいなと思います。
~ 目次 ~
訪れたのは燕市産業史料館
燕市の産業資料館というところに行ってきました。Webサイトはこちらです。
燕市というのは知ってます?スプーンあるじゃないですか。みんながヨーグルトを食べたりカレーを食べたりするやつ。あれの国内生産の95%をまかなっているらしいんですよね。
で、そのスプーンを作る技術とかの元の元って何かっていうと、和釘の鋳造技術が最初だったらしいんですよ。農家の水害の際の副業などで和釘作りが始まったらしいんですよね。
そんな金属の加工技術がキセルの吸い口や雁首の加工技術にもつながったりして・・・。
で、はたまた、やかんなんかを作る技術もすごくなったりしているんです。
これはこれで確かにすごいと思うんです。確かにすごいんです。
でも、僕がなんでこれがすごいと思ったかというと、その理由は一つしかありません。それは説明してくださった学芸員の齋藤優介さんがめっちゃめちゃ面白かったんです。
銅器を手に持って語る姿も熱がこもっていたし、学芸員だから当たり前なのかと思えもしますけれど、それでも燕市の歴史や良いところが十分に頭の中に入っているうえに、それを楽しく参加者に語り、例えば銅器の加工の説明をしている中では
「銅のヤカンで沸かしたお湯を使ってカップラーメンを食べると味が確実に違うんです。僕はこれが大好きなんです!」
と熱く楽しく語られるんですよね。
ということをおっしゃるかと思えば、新潟県の人口が約240万人で燕三条の人口が約8万人(約3%)という状況の中、事業者数は全体の20%もあることから、燕三条は個人の事業者≒職人さんが多い街だという数字に基づいた説明もすらすら出てきます。
こんな話を聞いていると、僕はIT界隈にいらっしゃる
「エヴァンジェリスト」という言葉を思い出しました。
エヴァンジェリスト
エヴァンジェリストとは、もともとはキリスト教の伝道師のこと。
そこから転じて、ITの世界では難しい技術を技術者・ファン・潜在顧客に分かりやすく説明する「話せるエンジニア」をエヴァンジェリストというようになっています。このエヴァンジェリストは、単なる技術の話だけでなく世間の動向やマーケティングまで知っているので、セミナーや講演会である会社の技術に初めて触れる際に非常にわかりやすい入口となって存在しているんですよね。
何百人もお客さんが入るセミナーでも大きなプロジェクターで恰好いいプレゼンテーションを演じ切り、また少人数で濃いセミナーをやるときにでもエンジニアに役立つ技術動向などを分かりやすく教えるエヴァンジェリスト。こんな存在が自社の技術をエンジニアに対してわかりやすく伝える、文字通り伝道師になっているんですよね。
エヴァンジェリストを感じさせる齋藤さん
翻って学芸員の齋藤さん。
齋藤さん自身がスプーンや釘を作ったりするわけではありません。
ですが、燕市の地域・産業・自然・文化をとても良くご存じであったうえに、人前でわかりやすく話すスキルがとても高く、こういう方が燕市を語って回るようなことをしていくことが地域振興・地域を知ってもらうための大きな一歩になるのではないかと思いました。
銅を加工する技術、スプーンを作る技術にもそれぞれの専門家がいらっしゃいます。
また詳細な部分はその技術の専門家の中からエヴァンジェリストを育成し、齋藤さんのような「燕市のエヴァンジェリスト」が市を背負って全国行脚するようなことになれば、燕市の産業・文化がどんどん知名度を上げていくと思うんです。
受けの地域案内も良いが攻めの地域案内も良い
パンフレットやテレビなどで土地の良さをアピールし、他の地域から旅行者を集め、そこで良いところを最大限にアピールして満足いただく。
これも有効な地域案内ですが、既にいろいろ手を付けているでしょう。工夫の余地もあると思いますが、エヴァンジェリストが積極的に他県やさまざまな「地元」をアピールする会で高レベルのプレゼンテーションをして見せることで、攻めの地域案内ができるような気がします。
それができる人材を育成するのも面白いじゃないですか。
地方の自治体は、ITのエヴァンジェリストを学んでみたらどうか
ということで地方自治体は、例えば(例えばです。僕が直接面識あるわけじゃないですし、今行ったて迷惑かどうかの判断もつきません)
元AWS(Amazon Web Service)エヴァンジェリストの玉川さん
マイクロソフトのエヴァンジェリストのみなさん
らにお話しを聞いて、現在のITの技術を使った上手なプレゼンテーションや難しいものを楽しく伝える技術を地域にかかわる人が応用して身に着け、齋藤さんのように「外に伝える力」を持った人をより多く育成してみたらいかがかと思いました。
もちろん、プレゼン能力とともに紹介するべき産業・文化の技術にも精通する必要があります。ただ、広い自治体全体を探せば、そういう人材が出てくると思うんです。
その方々が伝える対象の知識をガッツリもったうえでスマートにプレゼンテーションする技術を身に着けたとき、地方の文化・産業の伝達がさらに向上するのではないかなと。
地元でブロガーを育成するとかでもいいとおもいますが、とにかく今あるものを適切に今時のメディア・技術で伝えられる人材を地域の中から育成すること。
やってみる価値があるんじゃないかなと思いましたよ。