こう見えても結構ボクシング好きな@odaiji さん曰く、。
お世辞抜きで世界のボクシング界の常識をたった一人で覆したアジア最高のスーパースター、マニー・パッキャオがついに引退、ラストマッチが日本時間の2016年4月10日のお昼に行われます。たぶん、彼がいなかったらアジアのボクシングレベルはここまで上がらなかったでしょう!というほどのものすごい人。このラストマッチは見逃したくありません!
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パッキャオのラストマッチは2016年4月10日
日本ではBSのWOWOWで放送されます。
エキサイトマッチ〜世界プロボクシング
4月10日の11時から生中継!となっていますが、だいたいアンダーカードを2試合くらい挟みますので、12時半~13時くらいが試合開始だったりしますね。前の試合の進行にもよるでしょうし。
英雄・パッキャオはここがすごい!
簡単に語り尽くせませんけれど、こんだけすごいところがある!というのをご紹介していきます。
20キログラム近く階級を変更しながら世界チャンピオンになる
パッキャオの何がすごいかといえば、フライ級(約50.8キロ以下)で初めての世界タイトルを奪取したあと、スーパーウェルター級(約69.85キロ)まで6つの階級で世界チャンピオンになったことです。その差約20キログラム。体重制で約20キロの増量をして世界王者になった人って、様々な格闘技を見ても見たことがないですよ。
特にパッキャオ以前のボクシング界では、下の階級から上がってきた人はパンチが軽いだの効かないだの言われて不利を謳われてきたものですが、その常識をパッキャオ一人が覆し続けてきました。
タイトルマッチにこだわらず各階級のトップ選手と戦い続ける
おそらくどのボクシングファンも度肝を抜かれたのが、ウェルター級戦線に出た際のオスカー・デ・ラ・ホーヤ戦(2008年12月6日)でしょう。当時6階級制覇を成し遂げた英雄中の英雄、デ・ラ・ホーヤと、4階級制覇を成し遂げ昇り龍のパッキャオ。その当時、二人の人気と階級の差から、対戦することは無いと思われていた二人でした。僕も当時、二人の対戦が決まったときにどえらい驚愕だったことを覚えています。
「あのデ・ラ・ホーヤが、フェザー級でマルケス、バレラ、モラレスと激闘を繰り返したパッキャオとやるの!?」
大興奮しないわけがない、そんなカードだったんです。しかもノンタイトルマッチです。
その前にライト級(約61.2キロ)でタイトルを取ったパッキャオは、一気に2階級あげて、デ・ラ・ホーヤと約66キロの体重で戦います。僕の記憶だと戦前、当時のボクシング評論家、現役選手はみな口を揃えてデ・ラ・ホーヤ有利と言っていた気がします。でもね、どっちが有利とか関係ないんですよ。次々と名チャンプを撃墜していくパッキャオが、ついに当代最高のボクサー、デ・ラ、ホーヤにたどり着いてしまったということが何よりも衝撃だったから。
でね、でね。
勝っちゃったんですよ。デ・ラ・ホーヤに。9R開始前TKO。
8ラウンドまで一方的にパッキャオのパンチが当たり続けたんです。真っ赤に腫れ上がるデ・ラ・ホーヤの顔。これはいつ倒れるんだ!とテレビの画面に文字通りかぶりついて見ていたのですが、さすが陣営はダウンする前にギブアップしましたね。名チャンピオンの崩れ落ちる姿を世間に晒すことはしませんでした。
試合終了後にパッキャオがデ・ラ・ホーヤに言いました。
「今でもあなたは私にとってヒーローです」。
デ・ラ・ホーヤはパッキャオに次のように答えました。
「いや、今日から君が僕のヒーローだよ」。
なんだこの二人。そこらへんのスポーツ漫画がチープに思えてしまうほどの超一流の会話じゃないか。
言葉遣いが丁寧で、紳士
それまでの多くの世界タイトルマッチのインタビュー、お互いの選手は相手をののしり、
ぶっ倒してやる!
オレがナンバーワンだ!
の煽り合戦でした。
でもね、パッキャオは違うんです。大体どの試合前でも
相手の選手も、相手のトレーナーもセコンドも一流だし全力で準備をしてきています。僕もトレーナーも全力で準備をしてきました。大変な勝負になると思いますが、最後には必ず勝ちます。
もちろん相手によって言葉は違いますが、大体こんな感じの、必ず相手陣営を尊重し褒め称え、それでも自分たちの努力が紙一重上手だ、といった感じのコメントを残すんですよね。相手と直接対峙してファイティングポーズを取るときなんかでも、日本のヤンキーっぽいチャンピオンがたまにやっちゃう「メンチ切る」みたいなことはせず、穏やかにファイティングポーズを取って見せます。
その態度には間違いなく超一級品の風格があり、しかも勇気が全面に出ていて、でも不要に相手を威嚇するようなことはしないんですよね。
パッキャオの記者会見を見てからというもの、対戦相手にかみつくようなインタビューを見ると「ああ、まだまだ子どもなんだなあ」と思ってしまうようになりました。
本物の一流のたたずまいを、それまで決してボクシング界の中心ではなかったアジアの選手で見られるとは思いもよらなかったのです。
引退試合の相手は相手はティモシー・ブラッドリー。ラバーマッチ
これまでオスカー・デ・ラ・ホーヤやフロイド・メイウェザーをはじめとした名選手とビッグマッチを繰り返してきたパッキャオのラストマッチの相手は、ティモシー・ブラッドリー。
2005年9月から2011年11月まで、パッキャオはウエイトを上げ続けながら15連勝していましたが、そのパッキャオを判定で破ったのがブラッドリーでした。再戦も行い、そのときはパッキャオが大差の判定勝ちを収めていますが、2回戦って1勝1敗ということから、決着戦の意味も含まれている引退試合です。
ブラッドリー戦は世界タイトルのかかっていない試合ですが、そのアンダーカード(前座)、一つ前の試合はスーパーウェルター級のタイトルマッチです。
パッキャオの試合は、スーパーミドル級の世界タイトルマッチよりも価値あるものとして認められているのです。
こんな選手、今後見られるのか?否!
体重の軽い格闘家が増量をしても、そもそもの体格の小ささから、元から大きかった選手になんか勝てるはずがないと誰もが思っていました。
そんな常識をことごとく打ち破ってきたマニー・パッキャオ。
今後こんな選手が出てくるの?と問われたら少なくとも何十年は出てこないと僕は答えるでしょう。その階級でも戦えるのに、わざわざ様々なリスクを背負って上の階級にチャレンジする人はほとんどいないからです。
試合前のインタビューではとても紳士的なパッキャオ。
そして、戦わせると鋭い踏み込みからの左ストレート、前進力が魅力のパッキャオ。
こんなすごい選手、これからそうそう見られるもんじゃないと思います。
このラストマッチ、ボクシングファンだけではなく、格闘技ファン、いや、すべてのスポーツファンに見てもらいたい、最後のパッキャオの勇姿です。
見逃せませんよ。