格闘技観戦好きな@odaiji さん曰く、。
2016年8月に行われてるリオ五輪。今書いているこの時間は、まさにフリースタイル48kg級の登坂絵莉選手、58kg級の伊調馨選手、69kg級の土性沙羅選手が金メダルを獲得したニュースが流れた直後の朝です。まだ吉田沙保里選手を始め全階級が終わっていない段階ですが、この時点で日本の「強さ」がものすごい所に現れていたのが印象的で、思わず書いてしまっている次第。
登坂選手、伊調選手は残り数秒での逆転劇、土性選手も残り30秒で逆転してリードを守り切った形で、すべて終盤の接戦で決着しました。この接戦勝ち、1階級だけならただの「ドラマ」。でも3階級続けて実現させると、これは「終盤の強さ」「あきらめない心」が鍛えられた日本チーム全体の底力にほかなりません。
残り何十秒、ポイントで負けている、そういった所であきらめない精神、動き続けられる体力、獲れる所を獲る技術。すべてが備わっているのだなあと思うんですよ。
~ 目次 ~
終盤での大接戦・大逆転
アマチュアレスリングを本当にざっくり説明すると、円形のフィールド内で組み合う競技で、相手をフィールド外に押し出したり、相手の背後に回り込んだり、相手の背中・肩をマットに押し付けたりするとポイントになる競技です。
その中で48kg級の登坂絵莉選手は残り数秒で相手の背後を取ってポイントで逆転しました。
58kg級の伊調馨選手も残り5秒ほどでの逆転。
69kg級の 土性沙羅選手も残り30秒で逆転し、その後の大接戦をものにして判定で金メダルを獲得しました。
3人とも、文字通り終盤の大接戦を気力・体力・技術でそれぞれ少しずつ上回ってつかみ取った金メダルのように感じました。
まぐれじゃない、底力
土性選手の優勝直後のインタビューが日本の強さを物語っていたように思います。
インタビュアーが「残り30秒、良く勝ちきりました」といった質問をした際の回答が
「馨さん(伊調選手)や絵莉さん(登坂選手)も最後まであきらめずにするのを見ていたので、絶対にあきらめずにやろうって決めていた」
というもの。最後の1秒まで試合だということが3選手ともに染みついていることがよく分かる結果ですし、土性選手のコメントでした。
これって、もし一人だけ逆転勝ちをしていて残り2人が銀だったら、その1人の「個の力」だと思うんです。
でも、似たような展開で3人とも結果を出した。これはチームニッポンが常日頃からそういう取り組みをしてきたことが花開いた、組織の強さです。
最後の1秒まで分からない格闘技
これは競技の良し悪しではなくて単に特徴を語るものですが・・・。
野球って、9回の3アウトを取るまでは、たとえ何点差あっても逆転の可能性があります。これは既定の得点に達するまで勝ちが決まらない、卓球やバレーボールなども同様です。
バスケットボールやサッカーは、残り時間と点差の関係から「もうどうやっても逆転の目が存在しない」という時間が存在し得るゲームです。
柔道やレスリングは、例え大差で負けていても、柔道なら一本、レスリングならフォール(相手の両肩を1秒以上マットにつける)を取れば、大逆転が可能なゲームです。ボクシングにもKOという大逆転があります。最後の1秒まで逆転の可能性がある時間制の競技、それが格闘技なんですね。
その「最後の1秒まである逆転の可能性」をしっかりと、栄和人監督は選手にたたき込んでいたのではないでしょうか。その集大成が現時点での女子レスリング3階級金に現れています。
僕がスポーツ観戦として格闘技を見るのが大好きな理由は、本当に一瞬たりとも目を離せないこの性質です。
安易に決めつけない
人間、効率化を求めると安易に結論を付けたがります。
スポーツの例で言えば、7回で6点差くらいある野球。後半に入って3点差くらいあるサッカー。もちろん確率的には負けの要素が高いので、そこであきらめるファンもいます。
でも、特に野球や格闘技のようなスポーツは、あきらめないプレイヤーがあきらめないプレーを続ける限り、可能性は試合終了まで続くんですよね。これは理論値だけではなくって、今回のオリンピックでもそうですし・・・
バスケットボールのブザービーター
なんかもその最たる例の一つです。先ほどの例では勝敗が覆せなくなる時間帯が存在しうると書きましたが、それでもなお残りの一秒まで勝負を捨てない気持ちを選手が持ってるからこし、逆転への一手を打つし、それが成功することがあるんですよ。
もっと長い目で見ると「○○はオワコン」と言われた業務・ジャンル・職種・技術が、ところがどっこいその領域が終わらず、逆に盛り返してくる、そんなことは世の中に色々あります。
終わったというのは簡単だし、正解の確率が高いことなんですけれど、自分がそこに掛けている対象なら、確率の問題で決めたら粘れるものも粘れなくなっちゃうんですよ。
月並みですが、マンガの名作「スラムダンク」で安西先生が言った
「あきらめたらそこで試合終了ですよ」
まさに、そういうことなんですよね。
自分がそれに賭けているなら、人の判断は気にするな
今日のレスリング、残り10秒の時点で本当に逆転を信じ切っていた人はどれだけいるでしょうか。逆転してほしいと願ってはいたけれど、逆転すると信じ切って居た人はそこまで居なかったかもしれません。もちろんファンなら「逆転しろ!」と願っていたに違いありません。
3選手とも「自分が勝つ」という強烈な自己肯定、最後の1秒まで動き続けられる体力、どんな相手の隙も見逃さず、場合によっては隙をこじあける技術。この3種の神器を信じてラスト1秒まで戦うからこそ接戦を勝ちきることが出来たのだと思います。
3選手から僕らが見習わなければいけないのは、格闘技ような逆転の可能性があるなら最後の最後まであきらめるな!ということです。
当たり前のことなんですけれど、こんなに具体的に、強烈に、鮮烈に見せつけられたので、ついつい感動して記事にしてしまいました。
登坂選手、伊調選手、土性選手。本当に金メダルおめでとうございます。まだ試合していないほかの全競技の選手も頑張って!