ちょっと前、木曜日・金曜日と連続した二日間で、地域ブロガーの会と、地方在住ライターが登壇する会があり、その両方に参加してきました。
ぱっとみの言葉のイメージで言うと地域ブロガーも地方在住のライターも似たような感覚を受けなくもないのですが、地域ブロガーはその地域の情報発信を積極的にしていくことで如何に立ち位置をモノにしていくか。一方地方在住のライターは東京都のつながりを重要視するといった視点の違いもあり、似ているところと違っている所を考えながら整理していくと面白いと感じた次第。
その感じた所などをレポートできれば。
~ 目次 ~
2/9 地域ブロガーの会 【2017Winter】
まずは2017年2月9日木曜日に行われた地域ブロガーの会 【2017Winter】。
東京・渋谷の株式会社ファンコミュニケーションズ会議室で行われました。
地域ブロガーの会は、地域情報を発信しているブロガーが集まり、情報交換をする会です。地域情報に絞ったブログを運営している人も、雑記的なブログの1カテゴリーに地域情報があるブログを運営している人も集まります。
この日は、LT的な講演が2編と、メインの講演が1編ありました。
自分が運営するメディアだからこその苦心
自分が運営するブログメディアで一つの地域の情報をまんべんなくおさえるのは、現実的には不可能です。そのため運営者は様々な工夫や着地点を見出して行きます。
そのうちの一つが
▼他メディアの転載許可を得ることでコンテンツの数を無理なく増やす
というもの。もちろんGoogleから重複コンテンツなどのおしかりを受けないようにするなど条件のツメが必要になります。ですが、Googleからは検索対象にならない状態だったとしてもサイト内での回遊率が伸びることで、コンテンツを増やす効果は出てくるらしいんですね。
そこに自分のオリジナルコンテンツをしっかり入れ込んでいくことで、サイトとしての独自性もしっかり出しつつ正しい情報の数も増やして行く作戦。ふむふむ。
もう一つの作戦は地域の行事などを行うキーマンと仲良くなることで、重要なイベントの日程などの情報を一般公開前に教えてもらうことができる、というもの。
これにより
・記事執筆までの時間的余裕ができる
・いち早く情報を伝えられることで速報的なリードが得られる
といった有利な場面を作り出すことができそうです。
2つに共通しているのは、地域の人たちと人間的なつながりをしっかり作っているなあということです。
アフィリエイトを貼って、読者からのクリックで収益を得るタイプのブログ運営とはまったく異なる運営の形が透けて見えて来ました。いや、どちらが良い、悪いの話ではなく、ブログシステムに文章を叩き込み写真を貼り付ける、という作業の面では全て共通していますが、その背景となる情報の得方、作業が完結するまでに背景に広がる人の数など、おなじ「ブログ」という出力形式でもいろいろあるのだなあという違いが明確に見て取れた、ということです。
地域ブロガーのマネタイズとしても、ブログ的な広告収入だけにとどまらず、地域に根づいているという利点を利用した
・地域の人たちに情報発信を指導する
・地域の人たちが求めてるIT・ガジェット関連の講座を開く
・地域メディア、旅メディアへの寄稿
・地域のWordPressサイトの構築・運営代行
など、様々な形式があるものだ、ということもわかりました。
ブロガーという、メディアの立ち上げから文章・写真・営業まで一人ですべてできるスキルをフル稼働させて、地域のニーズを上手にすくい上げることで「ビジネス」を作り上げていけるんだなというところが浮き彫りになりました。
【ライター交流会】地方在住ライター会議 〜脱・東京の働き方〜
翌日・2017年2月10日に東京・五反田のCONTENTZで行われたライター交流会「地方在住ライター会議 〜脱・東京の働き方〜」では、東京外に済むライター二名と、旅をしながらライター業を営む方一名が登壇し、トークセッションが行われました。
イベントのTwitter実況がTwitterのトレンド入りするほど盛り上がったので、その日のツイートを追えばイベントの概要は分かるでしょう。
#ライター交流会 since:2017-02-10 until:2017-2-11 - Twitter検索
上記リンクを御覧ください。
地域での仕事、東京からの仕事
Webメディアの編集部自体が東京にある、というケースは決して少なくありません。
地方在住のライターさんがライティング仕事を請け負うとした場合に、東京から仕事を得る、ということは少なからずあるようなんですね。
したがって、地方在住ライターは東京への営業を疎かにしていませんし、東京から持ち帰れるものを大切にしている、という印象を受けました。
ライティングを軸としたメディア活動
例えば東京のメディアが地域の情報を書くために出張するとしたら、ライターとカメラマンを合計2人依頼するよりも、写真も文章もOKなライター(主軸がカメラマンでもいいですが)1人にお願いした方がコストが掛かりません。仮にギャラを二人分にしたとしても、交通費・宿泊費が半額で済むので、必ずコストは安くなります。
となると、受ける側としてはただ書ける、ではなく、いろいろ出来た方が
・仕事を得られやすくなる
・より良い仕事を得られるようになる
わけです。
東京から仕事を受注するためには、上記のように複数の役割ができること、編集目線でも話ができること、必要あれば取材先との交渉までできる、などのスキルが東京のライター以上にものを言うかもしれませんね。
そういえば僕も東京の飲食店の取材でしたが、取材の許可を自分で取り付けていたことがありました。
仕事の受注に複数のスキルが必要であるのなら、地方在住ライターであるならブログの運営をやってみて「一人メディア編集長」を体験しておくと良いのではないかなあと思いました。
仕事の掘り起こしで東京を活用
登壇した2人の地方在住ライターが、東京に足を運んでいるという共通点が興味を引きました。
地方で行われていることなどを東京に伝えつつ、地方で受けられる仕事を東京から得られれば良い、という意識を持たれているんですね。
文章を書く、文章でコミュニケーションするというライターの矜持を強く持っていました。その上でその他のこともいろいろできるようになるという、マルチスキルの大切さも皆さん口にしていましたね。
ビジネスの業界で言う「T字型人間」「π字型人間」に加え「H字型人間」であるところまでが大切な領域かもしれません。
逆に言うと一人で何でもできるスキルの高さを備えて地方に出向く、そんなライターが出てきたら日本全体が活性化しそうです。
2つのイベントを「はしご」して
地域ブロガーの会に参加して、地域ブロガーの稼ぐための行動は
・書くこと・表現することにこだわらない
ということでした。自分のスキルを如何に上手に出して地域と密接した仕事関係を築くかということにフォーカスを当てていました。
一方、地方在住ライターの目線はライティングを通してできることを何でもやっていく、という感じ。
ただし、登壇された三方はライティングもしますがブログもしっかり運営しています。この三人が前日の地域ブロガーの会で話していたら、また別のことを話したかもしれません。個人的にはそこがとても興味深く、3人にはそれぞれ「ぶっちゃけ、ライティング以外のことでも自分のスキルを使って食っていけるでしょ?」と聞いてみたい。
したがって、感じた上記の違いはイベントの性質の違いかもしれません。
「メディアに文章を書く」という仕事はWebが出来てから多様化してきました。
2016年は低品質なメディアが閉鎖に追い込まれるなどし、メディアの質について見直される風潮も見られました。
そして、文章を書くだけではなく、複数の役割も求められつつあります。
そんな中でブロガーもフリーライターも、地域の中で情報を出すという意味においては個の役割・責任がより重くなっているようにも感じます。
境界線があるようでないようで、不思議な関係の地域ブロガー・地域のライター。
僕も東京という地域に済むブロガーでライターです。今後2つのベクトルがどこで混じり、どこで違いが出るのかを注意して見ていきたいと思います。