ボクシング

村田諒太選手が世界を獲った戦いでマニアックに感動した2つのシーン

2017/10/22

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2017年10月22日。この日は日本中のボクシングファンとスポーツファンにとって意味のある日になりました。日本人のオリンピックゴールドメダリストが初めてプロボクシングで世界タイトルを獲りました。それも、20年前に1人しかとったことのない「ミドル級」という階級で。ヒーローになったのは5ヶ月前に疑惑とも言える判定負けを喫した村田諒太選手。その時に負けたエンダム選手と、続けての世界戦での快挙です。

試合のことはさまざまなメディアで書かれるでしょうから、その試合を見ていて自分がよかったとおもう2つのシーンをご紹介します。この2点で、僕の村田選手に対する好感度が思いっきり上がりました。

ジミー・レノン・ジュニアのリングアナウンスに大喜び

ボクシングの試合では「リングアナウンサー」という役割の人が、選手の紹介をしたり、国歌斉唱の進行をしたりします。

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アメリカには2人の偉大なリングアナウンサーがいて、マイケル・バッファーという方と双璧をなすのが、このジミー・レノン・ジュニアさん。上記写真の左がジミーさんで、右がマイケル・バッファーさんです。

日本人の世界戦では10試合ちょっとしか登場したことがない方なのですが、世界のボクシングを長く中継し続けてきたWOWOWエキサイトマッチのファンならこの2人はおなじみ。

前置きが長くなりましたがこの日、ジミー・レノン・ジュニアさんが「ニッポンノ ボクシングファンノ ミナサマ コンバンハ」と言った時に、村田選手がいちボクシングファンのように手を叩いて喜んだんです。

いやあ、嬉しかったんだろうなあ。あのジミー・レノン・ジュニアが僕の試合でリングアナウンスしている。これ、ボクシングファン度が高くないとあんなに喜べないですよ。絶対に村田選手、アマチュア時代から世界のボクシングを見ていて、ジミーさん大好きだったのに違いないです。

ジミーさんの決め台詞「イッツ ショウタイム!」のところでも顔のアップこそありませんでしたが、グラブの上から拍手している村田選手を見て取れました。

もうリングに上がってあとは試合開始のゴングを待つだけの状態で、ジミーさんの挨拶に喜んでいる村田選手のあのシーンは、完全にいちボクシングファンのそれでした。

試合前のリラックスうんぬんとか、選手経験がないとわからないことは言えませんけれど、あの場面での喜び方には、同じボクシングファンとして「あんなに近くで聞けていいなあ!」と羨ましくなってしまいましたわ。

と同時に、大事な大事な世界戦を直前にしてあの表情が出せるというのは、程よいリラックス状態にもあったのではないかと思ったものです。

試合後のインタビューでの「僕より強い」発言

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この日、世界チャンピオンになった村田選手です。でも、ボクシングファンはしっています、ちょっと前にミドル級の別団体で戦ったゴロフキン選手とアルバレス選手の存在を。

試合後のインタビューではクシャクシャな泣いた顔を指摘された村田選手は「泣いてません」と否定してみせたり、特定企業をイジる余裕を見せたりもしていました。企業をイジるシーンの方がネットでは取り上げられていたようですが、気に入ったシーンはそこではありません。

インタビュアーから、日本人でオリンピックの金メダルをとった選手で世界のベルトを巻きました、といった振りがあった際、村田選手は
「ここにいるボクシングを本当に大好きな人は、僕より強いミドル級のチャンピオンがいることを知っています」
と答えたんですね。

そこに場内からは
「ゴロフキンだ!」
声が上がったんです。

村田選手はその声の方を向き、
「そう、そこを目指して頑張りたいと思います」
と答えたんですね。

よくあるボクサーの「俺がナンバーワンだ。誰にも負けない」みたいな話ではなく、自分の置かれている状況、ファンからの評価などよくよくわかった上で一生懸命に世界戦を戦っていたんですよね。

これまで村田選手がどのような自己評価をしていたかはわかりませんけれど、世界を獲ったそのインタビューで冷静に語る姿には好感度がグーンと上がりました。

正直、僕も相手を選んで戦っているなあと思っていました。でも、村田選手がWBAのベルトをゴールにしていないこともわかりましたし、まだまだ進歩するだろうししてほしいという気持ちを持つようになりました。

「金メダル(オリンピックのゴールドメダリスト)もそうでしたけれど、過ぎてしまったら物事は大したことじゃない。一歩進むのが大切」

という言葉も、過去の自分に奢っていないんですよね。学ばなきゃいけないことがたくさんあり過ぎます。

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まだまだ通過点。本当のトップを目指して頑張れ!

ひとつ前のエンダム戦で不可解とも思える判定負けを喫したのは、村田選手に積極性をもたらしました。今考えれば、選手として大きなダメージを負わずにボクシングの厳しさを知れる、良い敗戦を喫したのではないかと思います。

もちろん、そこで奮起して、改善して、同じ相手と戦ってTKOという結果で文句なしの勝利を収めたからこそなんですけれど。

失敗やつまづきは誰にでもあるので、そこから真摯にリカバリーをかけて、みんなに認められるような結果を次に出す。

そういう姿勢を学びました。そして村田選手を好きになりました。

ゴロフキンとアルバレスの壁は、はっきり言って高く分厚いと思います。でも、チャレンジしなければ超える可能性はゼロです。

ここがスタート地点。村田選手の今後の活躍を本当に楽しみにしています。

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