中学生プロ棋士で話題になっている藤井聡太四段が将棋のリーグ戦で昇級、五段昇段を決めました。
中学生で五段ということ自体もすごいのですが、このC2クラスを一期で抜けるということがこれまた本当にすごいことなんですよ。これかどんなにすごいことなのかご説明します。
~ 目次 ~
順位戦の構造
順位戦というのは名人というタイトルに続く道筋であり、また、棋士の基本的な順位付けにも大きく影響するリーグ戦です。
名人を頂点とし、一年間かけて名人への挑戦の権利をかけて戦うA級が、基本は10人で行われます。
A級入りを目指すのはB1級リーグ戦。こちらは原則12人で構成されており、成績上位二人が翌年度のA級入りを決めます。A級の下位二人がB1に落ち、入れ替わるということですね。
同様の構造がB1の下にB2、C1、C2とあります。B2以下は「降級点」など難しい仕組みがあってリーグ戦の人数が固定しにくいのですが、要は順位戦のリーグを上がったり落ちたりするわけです。そしてC2クラスが、新四段が基本的に最初に在籍するクラスになります。藤井四段も2017年度、このC2クラスで戦っていました。
ちなみにC2クラスで悪い成績を一定回数取るとフリークラスという地位に移行されます。実力ある方が順位戦の不参加表明→フリークラス入り、というケースもあります。
1期抜けは厳しい
各級は前年の成績の良い順に順位付けがされています。昇給者が二人の所に成績最優秀者が三人いたら、その級の中の順位が上の人から昇級ということになります。
初年度の藤井四段は初めて参加した年なので、リーグの最後尾グループの順位でした。
で、このC2リーグ、約50人が参加しているという多所帯。そしてなんとなんと「総当たりではない」リーグ戦なのです。昇級者は原則3人。
全勝者は全員昇級できるのですが、例えば1敗者が5人も6人も並ぶという可能性が出てきますよね。そうしたときには1敗者の中の上位3人が昇級するため、最後尾の順位の藤井四段はそれだけで不利であると言えます。
ちなみに過去、新四段が一期でC2級を抜けた例は数年に一度くらいの割合でしか出ておりません。「ひふみん」の愛称で親しまれている加藤一二三 九段は一期抜けしています。
10代名人の可能性を持つ
上記の通り、藤井四段は五段となり、来年度はC1リーグで戦います。毎年昇級すれば2021年度にはA級、2022年には名人になれる可能性があります。その時藤井「名人」はまだ10代。将棋連盟の先代の会長出会った谷川浩司九段が21歳で名人位を戴冠した記録を上回れるかもしれません。
いつの頃も、どの世界でも、我々ファンは天才の登場に驚き、期待し、夢を見ます。
まず難関のC2リーグを一期で通過した藤井四段にはやっぱり夢を見させてもらってしまいますね。