東京駅から富山や金沢など日本海側を回って大阪まで行こうと計画されている北陸新幹線は、2018年時点では東京から金沢まで路線が開通しています。次の延伸は2023年に金沢から福井県の敦賀までの開通を予定しています。
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その開通を見越した自治体の活動というのが始まっているんですね。このたび5年後の開通への準備として福井県の県庁所在地・福井市の少し北東の「坂井市」「あわら市」がタッグを組んでの計画のプレス向け発表会に参加する機会を頂きましたので、その内容をご報告します。
~ 目次 ~
南青山の福井県のアンテナショップで発表会
都道府県のアンテナショップって割と銀座に集まっているんですけれど、福井県のアンテナショップ「ふくい南青山291」は南青山にあるんですね。この2階に多目的ホールがあり、そこで
「坂井・あわらエリア周遊滞在型観光推進事業」新しい地域観光ブランド 首都圏プレス発表会
という会が2018年3月23日に行われました。アンテナショップはスペースも広いし、1階では地元の品の買い物も楽しめます。
坂井市・あわら市と2023年への展望
冒頭で坂井市産業観光部観光産業課 課長 八杉 茂樹氏と坂井市産業観光部産業課 課長補佐 佐藤 弘治氏の挨拶と市の紹介・現状説明がありました。
Wikipediaによれは坂井市の人口はおよそ90,000人、あわら市の人口はおよそ30,000人です。ごつごつの崖で有名な東尋坊があるのが坂井市。歴史好きならご存じな本願寺第8世法主蓮如が布教の拠点にした吉崎御坊があるのがあわら市です。
ほか福井といえば現存する最古の天守閣がある丸岡城や、幕末に活躍した徳川側の松平春嶽が治めていたといった辺りが僕的な興味のあるところ。
2023年(平成35年)に新幹線の福井駅と芦原(あわら)温泉駅が北陸新幹線の停車駅になる予定で、それに併せての対策が2016年ごろから色々始まったそうです。
現在は観光客の8割がマイカーによる来訪で、新幹線の開通に伴い、関東から電車で訪れる観光客に対するコンテンツが必要だと判断しておられるそうな。
そんな両市が周遊できる観光エリアとしての計画を立てました。大きなビジョンは3つ。
- リゾートゾーンの創出
- 東尋坊、吉崎御坊跡、丸岡城、三國港町などの歴史文化ラインの構築
- 海と山の体験学習コンテンツをフックに、独自の教育旅行ブランドを確立
です。
リゾートゾーンでファミリー層を、歴史文化ラインでシニア層や女性グループを、教育旅行ブランドで教育旅行関連をターゲットにしたいそうな。
観光ブランドの紹介
ついで、北陸エリアを中心に活動しているプランナー・木俣 浩氏が現時点で強調したい観光ブランドを紹介しました。
東尋坊
僕の感覚だと火曜サスペンスとか片平なぎささんとかのイメージです。いやあすごい景色です。
景色も綺麗なんですが、水面に近いような低い場所に下りたり、遊覧船で船からみることもできるんだそうな。
崖の上からっていうイメージしかなかったので、それは新鮮でした。
奇岩
ちょと写真が悪くて申し訳ないのですが、奇妙な形になっている岩がいろいろあるそうで。自然がこしらえたモノですし、こういう岩好きの人っていますよね。
「東尋坊で満足して帰られる方が非常に多いんです。ぜひこういった奇岩もご覧頂きたいです」
と木俣氏。
ファミリーリゾートゾーン
東尋坊の東側数分の場所にある「松島リゾート」。さらにその東にある「創作の森」まで30分程度の中にスポットが点在しているそうです。
イチゴ狩りのスポットも数カ所ありますし
「高級フルーツと野菜が育つ眺めの良い丘陵地、遠くにそびえる白山、北潟湖、森がアクセントをあたえます」(木俣氏)
んだそうです。
アトラクション
体験農園や乗馬クラブもあるらしい同エリア。
「水族館はインスタ映えすると思いますよ!」(木俣氏)
と自信を見せていました。
美食スポット
エリア内に三國漁港があり、海の幸はとっても豊かなんですって。朝市ならぬ「夕市」があるそうです。例えば冬の期間に獲れる越前ガニですが、夕方に漁港に戻ってきた漁船にある越前ガニを、同じ日の夜にほてるなどで楽しめるんだそうですよ。朝獲れよりも新鮮な夕獲れ!
「がけっぷちリゾート」という名称
そんなエリアを木俣氏は「がけっぷちリゾート」と名付け認知度向上に努めているそうです。街の人にも好評の名前なんだとか。
「東尋坊で満足して次に向かおうと思われてしまうところを、エリア内の次を楽しみにしてもらいたいんです」と狙いを語りました。
今後の計画
以上の状況をもとに「がけっぷちリゾート周遊チケット 2018」というキャンペーンが2018年4月から6月まで行われます。1日単位の周遊券で、大人3,500円、子供2,500円のチケットを買ってもらえれば、
- 東尋坊観光遊覧船(乗船)
- 越前松島水族館(入場)
- 芝政ワールド(入場)
- 金津制作の森(陶芸絵付け体験)
- 乗馬クラブ「パ・ドゥドゥ」(曳き馬による乗馬体験)
- 北潟湖畔公園(貸しボート・レンタサイクル)
- 藤野巌九郎記念館(入館)
が1日入場無料になり、ほか28施設で利用できるクーポン券ももらえるそうな。
場所のイメージは以下のマップをご参照ください。
1日で回るのは無理!という向きには大人5,000円、子供3,200円の2DAYSチケットも準備するそうですよ。
GW期間を除く2018年4月7日~同6月29日までのチケットだそうです。
「あわら温泉で一泊していただき、翌日に1DAYチケットを使って一日たっぷり回っていただくような想定をしています」(木俣氏)
なるほどね。
質疑応答・私の感想
質疑応答が行われました。僕のようなブロガーは一部で、大部分は旅系メディアの人々でしたが、
「キャンペーンは6月までってどのくらいの人が来られるのですか?」
「そもそも2023年に新幹線できるまで福井に行きづらいわけですよね。その辺り何を考えているんですか?」
みたいな厳しい質問が飛び交っていました。キャンペーンは延長を検討したり、これから第2、第3の企画を考えているそうなので、そこはお楽しみですね。
そんな質疑応答も聞きつつ僕の感じた点は以下のような点です。
1)今、東京(北陸新幹線対象エリア)から来させる工夫をしよう
要は2023年に北陸新幹線が開通したときの旅先として坂井・あわらエリアを選んでもらいたいわけですよね。既に開通している金沢で降りられちゃ困るわけです。
であれば、今福井に来てくれた人やアンテナショップに来た人に対して、2023年の開通時に何かしらの割引になるクーポンやらを発行してみたらどうでしょう。
東京などからのアクセスをよりわかりやすく
こういう図、あるじゃないですか。あえて今東京から来てね!というのであれば、どのルートにどういう特徴があるかをもっと示してみるとか、例えば北陸ルートでやってきて東海道ルートで帰ったらこういう楽しみ方があるとか、そういう案内までしてみるといいと思うんですよ。
現時点で移動にストレスがあるのはどうしようもない中で、あえて来て欲しいわけじゃないですか。であれば、移動中の楽しみ方のご提案があっても良いと思うんですよね。
Webサイトにオススメルートをしっかり記述しておく
ファミリー層ならこう、歴女ならこう、雨天ならこう。
想定される場面・来訪者に向けたお勧めルートを書いておいて、旅行者が迷わないようにしてみたらどうでしょう?
アウトドア系のものが多いので、雨の日なんかに楽しめるルートや場所があるとうれしいかも。
歴史ネタはもっと欲しいです!
戦国時代・幕末のネタをちりばめてほしいです!もし僕がいったら勝手に見つけますけどね。
グルメ情報もよくまとめておいてほしいです
海の幸の美味しいエリアは「海の幸がうまい」で片付けてしまいがち。シーズン毎にどんな魚のどんな料理がうまいのか。どんなお酒に合うのか、やっぱり事例が欲しいですよね。
あと、確か、油揚げが美味しいときいたことがあるような…。食べたい食べたい。
懇親会
イベント終了後には越前の上手いモノを試食できる懇親会がありました。
ゲストにオテル・ドゥ・ミクニ オーナーシェフの三國 清三シェフが。強面だけど楽しい人でしたよ。
越前のグルメを少しずつですが色々試すことが出来ました!越前ガニから安納芋、フルーツなど美味しいモノが満載でした。越前も食べ物うまいなあ。
新幹線の延伸前、延伸後。地域は何をできるか
最終的な目的は新幹線が延伸されたときにどのように街が活性化するかということだとは思うんですよね。
でもじゃあ、新幹線が来るまでにどう認知度を高めていけばいいのか。なんというか、鶏が先か卵が先か、てきな悩みがあるのも感じます。だって今はそこまで利便性が良くないわけだから、何年かあとに便利にいけるのが分かっている中であえて足を運ばせないといけないわけですよね。
地域のアピールでの刷り込み、体験を小出しにする、おもしろいキャンペーンを張る。そんな工夫をいろいろやって、新幹線駅開業の初日から多くの旅行者が駅に降り立つよう祈っています!
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