3年連続女子プロレスMVPの紫雷イオ選手がエースの団体・スターダムが春に行っているワンデートーナメント「シンデレラ・トーナメント2018」を観戦しに後楽園ホールへ行ってきました。オフィシャルにも結果が出ているのでネタバレもなにもありませんが、進境著しい渡辺桃選手が優勝しドレス着用。今年の飛躍を予感させる大会となりました。
~ 目次 ~
シンデレラ・トーナメント
スターダムの春のワンデートーナメントであるシンデレラ・トーナメントは過去、同団体の1期生でもありアイコンとも言われている岩谷麻優選手が優勝・準優勝を重ねてきている大会です。
16名がエントリーした今大会、15試合が予定されるため1試合あたり10分1本勝負、決勝のみ30分1本勝負という規定で開催されました。
決着は3カウント、ギブアップ、オーバーザートップロープ(ロープの1番上を超えた形で場外に転落した場合に負け)となり、引き分けや両者ノックアウトなど決着が付かなかった試合は両者失格となる、厳しく、波乱を呼ぶかもしれないルール設定になっています。
同門対決で盛り上がった1回戦
トーナメントの1回戦は同門対決で盛り上がったなあという印象です。プロレスはどの団体でも、ユニット・チームという選手のグループがあり、その対抗というのが対戦の大きな構図の一つとして重要な要素になっています。同門対決というのはあまり見られないカードなので、ワンデートーナメントならではの楽しみでもありますね。
トーナメントの第一試合はクイーンズクエストというチームの同門・渡辺桃選手と小波選手の戦い。二人とも足技に定評があり、試合全般を通してバチバチとした蹴り合い、意地の張り合いを見せていました。
前の大会で行われたドラフトで大江戸隊というチームの隠し球指名となったHZK改め葉月選手は、これも大江戸隊の木村花選手との戦い。ヒールチームへのドラフトに戸惑いを隠せない雰囲気の葉月選手でしたがトップロープを超えたあとのエプロンでのきわどい攻防戦を制し花選手を落としました。
この戦いでノーサイドとなったのか葉月選手は大江戸隊への加入に納得した模様。これまでとは異なるスタイルでの今後の活躍に期待です。
正規軍同士の対決となったのが、岩谷選手と中野たむ選手の一戦。左肘の脱臼から復帰したものの腕をかばうファイトが続く岩谷選手と、まさかの電流爆破マッチをスターダムで実現させ精神的に一皮むけたかもしれない中野選手の戦いは、もし番狂わせが起こるならこのカードかな、と戦前に予想していました。
腕十字を左腕に極めて一本勝ちを目指した中野選手でしたが最後は底力の差でしょうか、岩谷選手が得意のドラゴンスープレックスを決めて勝利しました。
2回戦では新生・大江戸隊のダンスも披露
ドラフト後の新しい編成になった大江戸隊のダンスは2回戦の際に行われました。葉月選手が加入したダンスの初披露でしょうか?
その葉月選手は身長170センチでスタイルの良いビー・プレストリー選手の多彩な踏みつけ技に屈してしまいます。
1期生vs2期生となった岩谷選手と鹿島沙希選手の戦いは岩谷選手の宝刀・ドラゴンスープレックスが1回戦に続いて決まり岩谷選手の勝利。
1回戦に続いて外国人選手との対決になったエース・紫雷イオ選手はブランディ・ローデス選手相手に華麗なムーンサルトで退け、桃選手はジャングル叫女(きょうな)選手から、先日引退した美闘陽子選手から受け継いだBドライバーをエプロンで決めてオーバーザトップロープ。
ベスト4にはイオ選手・岩谷選手・桃選手・プレストリー選手が進出しました。
ワンデートーナメントならではのまさかの決着
準決勝の第1試合はイオ選手vs岩谷選手。現在のこの団体の黄金カードといっても過言ではありません。
しかしこの二人に10分一本勝負は短すぎた…。僕も試合前にこんなつぶやきをしていました。
スターダムのシンデレラトーナメント2018、準決勝で紫雷イオさんと岩谷麻優さんのカードになってもた。決勝で見たかったかもだけど、二人がここで潰し合うのは桃優勝のチャンス。 #STARDOM (@ 後楽園ホール in 文京区, 東京都) https://t.co/xmTEjqvhf8 pic.twitter.com/BMTckEmkPu
— 奥野 大児 (@odaiji) April 30, 2018
この二人のがっつり対決はビッグマッチで見せていただくとして、やっぱり10分で決着が付くわけはなくドローによる両者失格。
いやしかし、イオ選手も岩谷選手も、1・2回戦と全然動きが違うんですよ。お互いに「手が合ってる」というんでしょうかね。攻防がハイスピードだし、お互いにこのくらいのことが出来るということを心身で知り尽くしているからこそハイスピードで力強く正確な動きのやりとりが繰り広げられたのだと感じました。
やっぱりベルトを賭けた戦いで、この二人の対決を見たいですね。
第2試合の桃選手はプレストリー選手に対して秘技・テキーラサンライズ(左手をチキンウイング、右手をハーフネルソンに捉えてドラゴン気味に投げる。何言ってるんだかわかんね、って人ごめんね)でプレストリー選手から3カウント。決勝での対戦相手は両者失格で敗退となっているため、この瞬間に桃選手の優勝が決まりました。
近未来のスターダムを背負って立つだろう桃選手の優勝、今年の躍進を予感させるものなのかもしれません。
桃選手の決意にイオ選手が応えるも「ちょっと待った!」
優勝した桃選手は勝利者としてのマイクパフォーマンスの中で、イオ選手のベルトに挑戦したいと表明。マイクを渡されたイオ選手も「受けて立ちます」と受諾したものの、実はこの大会の数日後にイオ選手は花月選手との防衛戦を控えていたのでした。
花月選手が急いで割って入り「おいおい、私との防衛戦を勝つ前提で話しているんじゃないよ!」と突っ込みを入れつつも「私が勝ったらおまえ(桃)を選んでやるよ」と第一コンテンダーとの認識を持ってもらいました。イオ選手と花月選手のどちらが勝っても、桃選手のタイトル挑戦の姿が見られそうですね。
いやしかし花月選手はマイクが達者。悪役がマイク上手だと大会が盛り上がります。
桃選手の躍進と大江戸隊の団結が見えた開催
優勝した桃選手の今後の予感がもちろん第一ですが、大江戸隊に葉月選手がなじんで一枚岩になったところがこの開催の大きなポイントだったように思います。
「思えばあの大会で優勝したのが桃時代の幕開けなんだよな」
ということになるのか、他の選手がそれを阻止するのか。そんな楽しみを抱かせてくれる大会になりました。大江戸隊は一時期不穏なこともありましたが、ドラフトによる葉月選手の加入が落ち着き、これからヒールチームとして更に団体をかき乱してくれるものと楽しみにしています。1回戦負けだったし他団体所属ではあるけれど、木村花選手はこれからも見守りたい選手の一人です。
個人的に応援している岩谷選手は肘をかばったファイトが目立ちました。相手からも攻められていて完全回復は遅くなりそうですが(そもそも脱臼なので完治という概念が難しいのかもしれません)、熱くてキレッキレなファイトを今後も楽しみにしています!
とまれ、2018年度の団体の方向性が見えてくるようなシンデレラ・トーナメントでした!