欄間(和室で、障子の上のヘリの部分と天井の部分の間にある、採光・通風のための部分)や像などの美術工芸品として、美術館が日本遺産に指定されている井波彫刻。富山県南砺市井波地区の工芸品なのですが、この技術を使ったスマホのアナログスピーカースタンドを手彫りできる体験会がありました。ケーブルも何も挿さないのに音が膨らむというスタンドにも興味ありますが、小中学校での授業以来という木彫りを体験できるということで不器用ながら楽しんできましたよ。
不格好ですけれど世の中にたった一つの自分で彫ったスマホスピーカー。こうやって形が残るのはいいものですね。
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妙技あふれる井波彫刻
とやまブランド物語の冊子によると、井波彫刻は200種類以上のノミ・彫刻刀を使って彫り上げるそうです。江戸時代中期からの工芸で250年の歴史を誇り、全国から彫刻技術者が集まり、全国一を誇る300人超の技術者がいる産地になっているそうです。
体験したのは日本橋とやま館
イベントが行われたのは日本橋にあるとやま館です。橋のほとりにある、なんという好立地。情報発信拠点にふさわしい場所にありますネ。
ニュース イベント情報 | 日本橋とやま館[富山県 首都圏情報発信拠点]
↑いろんなイベントをやっているみたいです。今回の井波彫刻体験もこの一環でした。
完成品を見ながら彫っていく
▼スマホを溝に挿すと、下の穴から横穴につながって柔らかく音が広がる、という仕組みのスタンドスピーカーなんだそうです。本体下部にスピーカーのあるスマホなら基本的に対応ですね。
▼わずかに穴の開いた木の塊が台座にすっぽりと収まり、これを彫刻刀でどんどん彫っていきます。本職は200種類を使いますが、僕は…
▼さあ、最初はアリジゴクの巣を作るようなイメージで、途中からは角度を変えてじょうごを作るような感じで掘り進んでいきます。
右肩がパンパン
木目が左右に流れるような向きに木材を置いて彫り進めましたが、この場合は左右からは彫りやすいんです。でも上下から彫り進めると、木がバキバキ割れてくるんですよ。丁寧にいかないと水仕事をしすぎた指先のようにガサガサになってしまいます。力をうまく制御しながら進めなければなりません。
▼隣の人は指導員に褒められまくっていましたが、僕は放っておかれていました(笑)
勧めていくと、金づちを叩く右腕がパンパンになってくるんですね。特に肩が疲労しました。いやあ、簡単そうに見えますけれど、一気にごっそり削るわけにいかずで。少しずつ進めていくこともあり、ゆうに1時間半はかかったんじゃないでしょうか。
これがこの90分の成果です。ところどころ休憩も取りましたけれど、集中し続けられた90分でした。
柔らかく音が広がる
本体の下に向いているスピーカーの音が正面に向いてくれて広がるので、家でぼうっと音楽を聴くのにはとてもいい感じです。もちろん専門の音響メーカーが調整した音質なわけないですし、本職の彫刻士が彫ったものでもないから出来栄えがいいわけはありません。でも、オンリーワンなものを自分で作れて、使えているというのはなかなか愛着がわくものです。
自分で作ったものってプラスαの喜びがあるものですね。普段DIYをしないので良い経験になりました。