グルメ記事やグルメブログの取材の際に気をつけなければいけないことはいろいろありますが、あえていいます。一番大切なこと、それは
お腹を空かせて取材する
ということ。
何当たり前なこと言ってるんだ、と思うかもしれませんが、その理由や効果を確認してみればこれは本当に重要なこと。加えてNGなことが何か、良い取材に繋がることが何かという真理もわかってきます。
ブロガーとしてもライターとしても取材・撮影・執筆をしてきた僕が改めて感じる、お腹を空かしてグルメ取材に伺う大切さをお伝えします。
~ 目次 ~
2軒目のグルメ取材はどうしても感動が薄れる
※ちょい飲みのはしご酒、みたいな取材の場合はもちろん異なります。この意見がすべてではありません。
旅先などで食べる際にやってしまいがちなのがはしごをして美味いもの巡りをし、それを記事にしようというとき。
例えばラーメン屋さんを2軒はしごして取材する、というケースを考えてみましょう。頑張ればラーメン2杯は食べられるよ、という人は少なくないので
「頑張れば、できるか」
ということにもなりうるのですが、考えてみてください。二軒目のラーメン店を訪れたとき、お腹を空かせた一軒目と同じ期待値・期待感でメニューを眺め、注文し、美味しく食べることができるでしょうか?
少なくとも僕はできないんですよね。
食べきった後の感想こそしっかり押さえたい
はしごをしなければならないから一軒あたりの食事量を減らす調整をしよう、という考えもあることはあるでしょう。
でもこれ、それぞれの取材で
- 最後まで食べきることができない(不完全な取材)
- アラカルトやオプションを頼める量が減る(不完全な取材)
- 食材を残す(お店に対して失礼)
といった欠点が露出します。
ちょっと前の話題にもありましたが、食材の映像・画像だけゲットできれば食べられなくて良い、なんてことはまず基本的にありえません。
人件費をかけられる取材でも無い限り「残りはスタッフがいただきました」はなかなかできるものではありませんからね。
食べ切ったから書ける感想がある
そして、料理には一通り食べ終えたからこそ得られる感想が料理にはあるはずです。
たとえば食事の後の満足感。
たくさん食べているのにさっぱりしていてまだまだ食べられそう
といったお腹の具合の感想もそうですし、
スープを飲み干したら丼の底に「ありがとう」の文字が。
といった状況の説明もあり得ます。
また、一口目と最後の一口の味が違う例は、それこそ山のようにあります。
料理には温度がありますから、一口目の温度から最後の一口に向けて、室温に近づいていくわけですよね。
麺類なら、麺がスープを吸って歯ごたえが変わってきますし、氷の入ったカクテルのようなドリンクであれば、水の溶け出しでお酒の味が変わってきます。
二郎系ラーメンを何度も食べたことのある人であれば、同じボリュームのラーメンでも「天地返し」をした場合としていない場合で、後半のペースや食後感が変わってくるのはわかるのではないでしょうか。
そのような例はたくさんあります。
そういった味の違いは、同じメニューを味わう人にむけての有益な情報になるはずです。それを知り、書く材料として得られるかどうかで取材の濃度が変わってくるのではないでしょうか。
お店の人の目はごまかせない
お店の方は、客が食べている姿を想像以上に見ているものです。
僕は評論家的にレポートするわけではなく、ひとりの食いしん坊・飲兵衛がそのお店で堪能している、というレポートをします。ですので、楽しく食べ、なぜ楽しくなるかを知りたくなってくるんです。
料理が届いたときの喜び。美味しそうに食べているか。スタッフの方と話していて、食べる側としてみられていた感想をいくつも頂いたことがあります。
幸いなことに僕は
「美味しそうに召し上がりますね」
と褒めていただくことが少なくなく、その後も好意的にお話を聞けているということがあります。
決して僕はテクニックとは思っていないのですが、美味しそうに食べる姿を店員に見せることでコメントは必ず引き出しやすくなります。
これが二軒目、三軒目の取材になってお腹が満ち、なんとか詰め込みながら食べている状況になると、なんらかのそのマイナスな感情は高確率でお店の人につたわっていると思った方が良いですね。
ドラマや漫画に出てくる食いしん坊キャラがこの世の天国とばかりに食べる姿は、理想的な姿ではないでしょうか。
これができなくなるはしご取材は、僕は可能な限り避けるべきだと思います。
複数人での取材も視野に入れる
それでもどうしてもはしご取材をしなければならない、たくさんの種類を注文しなければならない、ということであれば、やはり人海戦術しかなさそうですよね。
メディアであれば、ご足労だけれど編集の方にも同席してもらう。
ブログであればほかのグルメブロガーを誘って一緒に食べる。
食べる側もグッドコンディションで臨むことが取材に対する礼儀だと考えています。
分けて取材するのであれば、朝ごはんと昼ごはんくらいの感覚、およそ4時間くらいは間を取って取材に臨みたいところです。
当てはまらない例はもちろんたくさんあるが、基本はおさえておこう
そもそも取材の意図が食べ歩きやはしご酒のように、複数のお店を訪れることが前提のケースがあります。そんなところではこの例は直接的には当てはまりません。
しかし、その場合でも取材に向けてのキャパシティを自分が理解していなければ完遂できません。取材は計画的に。
グルメ取材とその記事の目的の一つには、読者の方がお店に来ることがあるでしょう。
そうした取材にするためには、おなかを空かせて食べに行くお客さんと同じ立場に立った取材者となるのが一番です。
当たり前の事かもしれませんが、今一度考えてみる価値があるのではないでしょうか。