ジャーナリストの岩上安身氏が元大阪府知事の橋下徹氏の名誉を毀損したと思わしき第三者のツイートをリツイートしたことについて、橋下氏が岩上氏に対し損害賠償を求めていました。大阪地裁は2019年9月12日、33万円の支払いを求める一審判決の言い渡しを行いました。岩上氏は控訴を決めています。
第三者が行った名誉毀損的なツイートをコメントなしでリツイートしたことが「投稿に賛同する表現行為」だとして名誉毀損に当たる一審が出たものですが、この判決は今後SNSを利用する人たちにも大きな影響を与える可能性があります。従って、ブロガーやインターネットを活用して情報発信を行う個人・法人は裁判の行方をしっかり見守っていく必要があるでしょう。気になった点を挙げていきます
~ 目次 ~
リツイートは「賛同」か
上記はTwitterのヘルプにあるリツイートの説明ですが、そこには賛同か反対かといったことは一切触れられていません。ところが今回の判決を毎日新聞、産経新聞が報じた内容によれば、末永雅之裁判長が投稿に賛同する表現行為だと判断したことを報じています。
産経新聞のサイトの方では
末永雅之裁判長は「元の投稿をそのまま引用するリツイートは、その内容に賛同する表現行為で責任を負う」と認定
と書かれていました。これはコメント付きのリツイートと分けて考えているという見方もできますが、いずれにしても第一審では単純なリツイートが賛同という見方がされたということになります。
Twitterの利用者の考え方もいろいろあるでしょうが、僕などは、反対意見もあるよー、といった趣旨の元で単純なリツイートをすることもありました。しかし、この一審の通り最終的に決まってしまえば、これ以降の裁判では過去に下った参考にすべき判例となるでしょう。
その場合、様々なSNSでリツイート的機能がありますが、反対意見であればそれを添えておくことが重要になりそうです。
岩上氏は控訴。橋下氏は「リツートにも一定の責任が生じます。」(ママ)
当然、岩上氏は控訴に動きました。そもそも岩上氏は橋下氏からの損害賠償請求についてはスラップ訴訟(社会的に強い者が、その者よりも社会的弱者に対して恫喝的に起こす訴訟)と捉えています。が、判決の中では
リツイート時、岩上氏のツイッターに約18万人のフォロワーがいたとし、「一般人よりも拡散力や信用力が大きい」と述べた。
(産経新聞のサイトの報道から)
としています。ちなみに2019年9月14日時点で橋下氏のTwitterのフォロワーは212万人ほどいて、Twitterにおける「戦闘力」は10倍以上の差があります。
その10倍の差は考慮に入らず、岩上氏に18万人ほどのフォロワーがいたという絶対敵数値の方を重視されたのでしょうか。
一方、橋下氏は以下のようなツイート。
https://t.co/2BmYFLW28K…
岩上安身氏からツイッターによる執拗な攻撃を受け続けてきましたが、一審で勝訴しました。リツイートはフェイクニュース拡散の元凶です。リツートにも一定の責任が生じます。皆さん、気を付けましょう。— 橋下徹 (@hashimoto_lo) September 12, 2019
こちらは勝者のコメントといった感じですね。
判決の確定を見守りたい
個人的には岩上氏・橋下氏のどちらかを応援する、というつもりはとくにありません。見守る立場です。
この裁判は第一審の判決が出たに過ぎず、岩上氏サイドの控訴の結果どのような第二審となるのかが重要な注目点でしょうね。第二審のあとに上告しても棄却されてしまうことが多いので、次の判決はかなり重要なものになりそうです。
つまり、第二審の判決で、コメントのないリツイートが賛同の意を示すものかどうかが判例的に決まってしまう可能性が高いわけで。
判決の確定を刮目したいと思っています。