アマチュアオーケストラでヴァイオリンを演奏する友人・田下(たおり)愛さんが、クラシックに詳しくない人に向けた電子書籍「やさしすぎるクラシック音楽入門〜たった1時間で大人の教養が身につく」を出版されました。
CMで流れるこの曲はクラシックの名曲なのか!交響曲と協奏曲ってそういう違いなのか!と、音楽を聴くのは好きだけれどなんも詳しくない僕が読んでいたら目からウロコな知識ばかりでした。
この知識があれば、詳しい人の話をアワアワしないで聞くことができそうですよ。
~ 目次 ~
本書の構成
序章や後書きを除いた本性の章立ては以下の通りです。
第一楽章
テレビや替え歌でよく聴くあの曲は?
第二楽章
コンサートで演奏されているのは交響曲? 協奏曲? 室内楽?
第三楽章
クラシックの大人気ヒット曲 神8
第四楽章
曲や演奏を簡単に楽しむ3つの方法
章立てが「楽章」になっているのが、クラシック本ならではですね。
なお、ざっと読むと書名にもあるとおり1時間程度で読めるかもしれませんが、文中に出てくる曲名をYouTubeなどで検索して聴きながら読み進めると理解が高まり耳が肥えます。
せっかくの電子書籍なので、スマホでクラシックを聴きながら読んでみましょう。
僕のクラシックの出会いは斎藤晴彦さんが歌っていたKDDのCMだった
僕が最初にクラシックを意識したのってなんだろう、と辿れる限りの記憶を辿ると、ブラームスのハンガリー舞曲 第5番なんですよね。
斎藤晴彦さんが
国際電話は深夜割引が使えておとく〜
みたいな替え歌をしていたKDDのCMです。KDDIじゃなくてKDD。
僕は、曲名を聴いて一部分でも思い浮かぶ曲があまりありません。
第一楽章で田下さんが紹介されている曲に
トッカータとフーガ ニ短調
とあります。曲名だけ言われてもあんまりピンとこないんですけれど、
鼻から牛乳のやつ
とか
コナミのジャイラス(昔のテレビゲーム)
とか言われるとぴーんと来るわけです。まあでも、それでピンと来なくても、YouTubeで「トッカータとフーガ ニ短調」と検索して視聴すると
あれだ!
と思い出せるような有名曲を、田下さんがいろいろ紹介してくれています。
ほかに、太田胃酸のCMで使われていたあの曲はショパンの名曲でした。それが何という曲かは、本書とYouTubeを取っ替え引っ替えして確認して楽しんでみてください。
ちなみにYouTubeは月額1,180円の有料プラン「YouTube Premium」に入ると動画から広告が削除されるだけでなく、アプリのバックグラウンド再生にも対応します。
YouTubeを聴きながらKindleで読書ができますよ。
用語もまったくわからない
交響曲・協奏曲と言われても、単語は知っているものの違いがわからない程度のニワカですし、いうならクラシックってどこからどこまでがクラシックなんだというのもよくわからないものです。
ピアノやバイオリンのソロ曲は、クラシック音楽だけれど交響曲や協奏曲ではないな。
ということは、本書を読んで初めて意識できました。なんとなく知ってる言葉のもう少し深い意味がわかるというのは嬉しいことですね。
となると、室内楽ってなに?歌曲ってなに?
と、字面だけ知ってる言葉の意味を知りたくなるんですが、そういった説明をわかりやすく伝えてくれています。
オススメ曲はどこかで聴いている曲ばかり!
クラシックの楽曲は、みんなに愛されているというのはもちろんのこと、著作権的にも扱いやすい曲です。誰かのCDの曲を勝手に流すのはまずいけれど、演奏してみた、歌ってみたという表現に関しては権利の侵害がありません。
だから、クラシックは様々な機会で耳にします。テレビCMに使われたり、映画に使われたり、プロ・アマを問わず様々な演奏家が奏でたり。
第三楽章の最初紹介されているモーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」。この出だしはとても多くの人が耳にしていると思うのですが、初代ファミコンからゲームを楽しんでいる僕にとっては、圧倒的に
マリオブラザーズ
のゲーム開始時の曲です。
アイネクライネ……ってどういうんだっけ。ほら、ええと。
YouTube検索
おおっ、マリオじゃん!
第三楽章の各曲の説明を読みながら僕の心の動きはこんな感じでした。たぶんみなさんも、似たような経験ができるはずです。
クラシックをどこで楽しむか?
実力派の交響楽団のコンサートを聴きに行くばかりがクラシック鑑賞ではありません。ほかにどのようにクラシックの演奏を楽しめるか、田下さんは最終章でそこに触れています。
たとえば野球ファンなら、プロ野球を見に行くだけではなく、テレビやネットで様々なリーグの試合を見たり、近所の公園で行われている草野球を観戦に行くことだってできるわけですよね。
クラシックにもそのような楽しみ方があります。
自らがアマチュアオーケストラに所属している田下さんらしく、そうした楽しみ方を解説。映画や漫画でも楽しめますよと主要作品を紹介してくださっています。
ちなみに僕が好きなクラシック関係の漫画作品は
の2作品です。
前者は、トラウマで弾けなくなった中学生天才ピアニストが一人の少女と出会うことで再び演奏に向き合うまでの美しく切ないストーリー。マンガが原作ですがアニメも素晴らしい出来で、この両方を観るのを強くオススメできる作品です。
後者は中古レコード屋を営む店主のところへやってくる音楽関係の事件を、その豊富な音楽知識で解決していくという1話完結のストーリーです。クラシックに特化してはいないものの、登場するお店の名前などがクラシック色豊かですよ。
クラシックとの接点を作るのに適した一冊
突き詰めてマニアックなところに到達しようのではなく、入門の扉をノックしたい感じのクラシックとの接点を作るのにとても良い一冊でした。
電子書籍を読んでYouTubeで聴いて
「おお、これ聴いたことある!」
という反応を何度したことか。知っているけれど知らないクラシックを再認識して楽しむとっかかりが、この一冊でできました。