焼き鳥という食べ物は、江戸時代にはすでに楽しまれていたようですね。庶民的な食べ物のイメージもありながら、職人さんが絶妙な火加減・焼き加減で調理するごちそうのイメージもあります。後者の代表格が東京・京橋ほかにある「伊勢廣」さんです。大正10年創業で2021年には創業100年となる老舗の焼き鳥店です。
その伊勢廣さんの京橋にある本店がこのたび移転・2020年10月19日から開業することとなりました。開業に向けての試食会にお呼ばれしたため、熟練の焼き鳥を美味しく頂戴してきましたよ。
いやさすが、記念日や大切な日に訪れても良い素敵なお店です。
~ 目次 ~
伊勢廣京橋本店の移転先は真向かい
伊勢廣京橋本店の10月18日までの住所は東京都中央区京橋1-5-4。移転先は東京都中央区京橋1-4-9。
どの程度離れたかというと「真向かい」です。来店したことのある人なら間違えようがありません。以前と同じ道をたどれば到着します。
通されたのは驚愕のさじき席だった
桟敷席なのですが、職人さんが焼き鳥を焼いている姿を見下ろせる席なんですよ。
野球で言えばバックネット裏。サッカーで言えばメインスタンド下層中央、そんな席なんですよね。
階段を上がって、席の真横で靴を脱いで上がります。足元はすのこが引いてありその下には炭が。後ろは人一人分のスペースがあり、食べ疲れをしたら少し後ろに倒れることもできそうです。
こんなところで試食できるなんて、すでに美味しい。
伊勢廣の本気焼き鳥のおいしさよ
この日頂いたメニューは以下の通りです。順にご紹介しましょう。
焼き鳥(コース)
▼ささみ
新鮮さを感じる、歯ごたえの良いささみです。塩っけは薄く、香り良きわさびでいただきました。
オープニングの一本はこれからの鶏をイントロダクションになる、あっさりした味わいですね。
▼レバー
個人的MVPはこれ。タレの香りはとても良いのに味の邪魔をしていません。
口の中ではムースのようにふんわりした口当たりで、口のなかでどんどんレバーそのものの味が拡がっていきます。
でも、最小限の味つけのタレが最大限のサポートをしています。このタレ、終戦からずっと使い続けている宝物だそうですよ
▼葱巻
「ねぎま」かと思いきや、長ネギを鶏肉で巻いて、それを串に通していました。
▼団子
いわゆるつくねなんだと思います。軟骨のコリッとした歯ざわり、脂のジューシーさが共存しています。次々に胃袋に収められていく。
▼もも肉
歯ざわりがとても良いんです。硬くならず柔らかさがずっと残っていて、噛むとホロホロした感触が口の中を駆け巡ります。
香りが高く味は主張しすぎないタレの旨さは相変わらずで、もも肉とも相性抜群です。
鶏スープのあの濃厚さが、くわっと上顎から喉のあたりに広がるんですけれど、ぜんぜんしつこさは感じられません。
そうしたときの舌は、あっさりさすら感じていました。
舌だけで味わってみたら、それはそれで濃厚だったんだけれど。不思議。
追加串
追加もできますよ、ということで、砂肝・皮身・合鴨・手羽・軟骨・ミニトマトから好きなものを頼めました。注文したのは
砂肝・皮身・合鴨・軟骨
です。もう写真が追いつかない。
とりわけ気に入ったのは皮身と合鴨ですねえ。皮のトゥルンと身のモチッ。
合鴨のシャクっとした歯ざわりと脂の乗り。
ごはん
お食事ということで
特製とり茶漬け・そぼろご飯・ごはん(お新香付き)から選べました。
▼僕が選んだのは特製鶏茶漬け。だって、鶏スープ感を得られると思ったから。
コレなんだろう?僕の感覚だと鶏スープにほんのりと玄米の香りがしたんだけれど。
食中に頂いた鳥スープの濃厚さの核が残っているものの、決してしつこくない。サラサラいけちゃいます。
鶏肉も2切れ入っていて、これもお茶漬けという体裁を崩さないあっさり加減で、でも肉質がしっかりしていて。
海苔も香りが良かったあ。東京って海苔の名産地だから、もしかしたら東京湾のいい海苔を使ってるのかもしれないなあ。
毎食食べても飽きないよ。
伊勢廣の新本店は素敵なビルだ
新しい「本店ビル」なんだそうです。座席は3階まであり、中を通った1階と、食事をした3階の撮影ができました。
3階は高級感あふれるハレの席
奥座敷や坪庭があるあづまやなど6つの個室とカウンター席があります。さじき席も3階です。
新型コロナウィルス感染症対策のための座席間のついたては、東京タワーの形をしていました。特注品ですって。
あづまやは他の利用者さんが使っていましたので撮影できませんでしたが、掘りごたつ席のようです。そこから見える坪庭だけ少々。
1階では職人さんの仕込みシーンが見学できる
ケヤキ無垢材のカウンター席があり、奥には職人さんが仕込みをしている姿を認められます。
こうやって焼き鳥が作られているんだというのが見えるのは安心や信頼に繋がりますね。
そういえば僕の食べた焼き鳥を焼いてくださった職人さんは45年以上このお店の焼き場で働いているそうな。
大切な日に大切な人と行きたい、古き良き新しき本店
一本一本出てくる焼き鳥は、美味しいうちに食べて下さいねというメッセージを感じます。
普通の焼き鳥屋さんに行って失敗しがちなのは、焼き鳥をまとめて頼んでしまって、最初の一本以外は冷めたものを食べること。焼き物なんだから、熱いうちに食べたいし食べるべきですよね、本来は。
一本を大切にしているから全体が美味しくなるんですね。串から食材を取り外すフォークは、こうした食器づくりの名産地・新潟の燕三条で作っているそうです。お店のロゴが入っていますね。
そして一本を大切にする職人さんが店を作り、店の伝統が職人さんを育てていく、そんな好循環を想像させてくれました。
伊勢廣京橋本店(新本店)お店情報
営業情報
定休日 | 日曜・祝日(年末年始を除く) |
---|---|
営業時間(ランチ) | 11:30~14:00 |
営業時間(ディナー) | 16:30~21:00(平日) |
16:30~20:30(土曜日) | |
カード | 使用可 |
席数 | 80席・全席禁煙 |
主なランチメニュー
メニュー | 内容 | 価格(税別) |
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焼鳥5本定食 | ささみ・砂肝・葱巻・団子・もも肉 | 1,900円 |
焼鳥6本定食 | ささみ・砂肝・葱巻・団子・もも肉・皮身 | 2,200円 |
焼鳥5本丼 | ささみ・もも肉・団子・皮身・肝類 | 1,900円 |
焼鳥3本丼 | ささみ・もも肉・団子 | 1,080円 |
主なディナーメニュー
メニュー | 内容 | 価格(税別) |
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フルコース | 鶏一羽を丸ごと味わう12品の看板コース | 6,600円 |
ヘルシーコース | 原木椎茸・ミニトマトを含む12品 | 5,950円 |
7本コース | 10品 | 4,950円 |