野球

花巻東高校・大谷投手が北海道日本ハムにドラフト一位指名された問題で思うこと

2012/10/27

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拝啓@odaijiです。

2012年10月25日、日本のプロ野球でドラフト会議が行われました。亜細亜大学の東浜投手、大阪桐蔭高校の藤浪投手などが話題を集めていましたが、もう一人「超大物」がいました。

夏の甲子園こそ出なかったものの、その予選で160キロを出した花巻東高校・大谷投手です。北海道日本ハムファイターズが一位指名したものの、大谷選手は事前にメジャーリーグへの「就職」を宣言していたのです。

大谷投手が160キロを出した映像はこちらの3:22辺りをご覧ください。剛速球が低めにびしっと決まっています。

さて、大谷選手の指名を巡っては前述の通り悶着がありました。

悶着の問題となっている点はただ一つです。「日本のプロ野球を経ずにメジャーリーグに挑戦する人間に対する取り扱いを、日本プロ野球界がきちんと定めていない」という点です。

以下、問題点を見ていきましょう。

日本のプロ野球チームから指名された選手は、翌年の3月31日までそのチームに交渉権をゆだねなければならない

これにより、大谷選手が3月まで、日本ハムの交渉権の支配下に置かれることが濃厚となります。ところが、メジャーリーグの球団との交渉に関しては規約上なにも書かれていません。

メジャーリーグは来年4月1日まで、大谷選手と入団の交渉を遠慮するのではないかと見られています。

大谷選手があくまでメジャーリーグ行きを希望する場合、18歳という若さには大変貴重な数カ月を、無駄な交渉のために費やしてしまうことになります。


高校生がプロ野球選手になるためには「プロ志望届」という書類を出してドラフトで指名されなければなりません。どうやら不思議なことに、メジャーリーグに挑戦するにもこの届が必要なのではいけない?ということみたです。でなければ、大谷選手はプロ志望届を出さずに、メジャーリーグのチームと交渉すればよいわけですから。

ところが、志望届は出さなければいけない、でも日本のプロ球団の指名をうけたくない、という状況は現状では作り出せそうもないのです。

日本ハムは悪くない

ここで敢然と打って出たのが北海道日本ハムファイターズです。ルール上、大谷投手の指名は全く問題ありません。もしかしたら口説いて入団へ翻意させられるかもしれない・・・。そう思ってドラフト指名することは、あり得ない話ではないのです。

なお、ほかの球団でも大谷投手をほしがったところはあると思いますが、彼のメジャーリーグ行きのコメントを聞いて方針転換し、他の選手を指名したようです。

大谷選手を必要な戦力だと判断するなら、日本ハムの選択は自然なこと。日本のプロ野球のルール上悪いこともしておらず、全く問題ありません。

大谷選手は自らの夢のために、プロ志望届を出し、メジャーリーグ行きを明言しました。
そこに対して日本ハムは大谷選手を指名しました。

双方ともに悪いことは何もしておりません。
何が悪いかとあえて言えば、海外進出をまったく想定していない日本のドラフト制度の不備です。
この不備のせいで、双方ともに不幸になる可能性があります。


日本選手の海外進出を防ぐ日本プロ野球界の「悪法」には、次のようなものもあります。

日本のドラフト指名を経ずに海外プロ球団でプレイした選手は、海外球団との契約終了後3年(高校出身)もしくは2年(大学・社会人出身)は日本のドラフトで指名できない

このルールは、日本の球団に選手を縛りつけたいとする意図しか見えてこないルールです。海外から帰国した選手にブランクを設けさせることで、いきなりの海外挑戦に対する精神的ハードルを上げたということが言えます。

これは日本のプロ野球の魅力を上げるというよりは、海外へ容易に進出しないための囲い込みをしているだけです。ここには将来がありません。こういうルールがまかり通っているようでは、日本のプロ野球の質がどんどん下がってしまうでしょう。

「悪しき慣習」に立ち向かう日本ハム

日本ハムは、昨年も「巨人にしか行かない!」と公言していた菅野投手を敢然と一位指名し、見事玉砕しています。現行のドラフト制度では逆指名は認められておらず、チームが公正に新人選手の強化を図れることによってリーグとしての公平性を保とうとしています。それを覆す巨人の囲い込みと菅野選手の「逆指名」宣言に立ち向かったのです。

昨年の一位、今年の一位と、日本ハムは制度に立ち向かうための一位指名をしているのではないかと思えるほどの指名っぷり。戦略としては損な気もしますけれど、理念やルールに重きを置いたその姿勢には共感できる部分があります。

どうすればよいのか

個人的には、日本のプロ野球を経ずにメジャーリーグに行きたい選手はどんどん行かせればよいと思います。それが失敗しても日本でやっていく力量のある選手は、その時に日本でドラフトなりトレードで獲得できる制度を作ればよいでしょう。

日本人が海を渡って成功している例はそれほど多くありません。投手、野手とも数名でしょう。普通に考えれば、日本のプロ野球で力をつけ、実力と実績を兼ね備えたところでフリーエージェントの制度を使って海外に渡るという道の方が自然です。徐々にステップアップできるということは重要です。

さらに、「ぜひ日本のプロ野球で野球をやりたい!」という魅力を、日本プロ野球界が構築していくことが早急に求められます。有望選手を引き留めるのは、不利になるルールではなく、魅力ある国内リーグです。

そこを勘違いしないでほしい。そう願ってやみません。

「第二の菊池」を作るな

2009年には同じ花巻東高校の菊池投手が、当初メジャーリーグを熱望していたにも関わらず、不可解な展開で国内球団でプレーすると宣言したことがありました。

関連動画はこちらです。

ここにはいろいろな大人の事情があったのではないかと邪推できる状況でした。
大人が寄ってたかって、メンツや権利のために若者の夢を奪うようなことがあってはなりません。

行ってはならない明快な理由があるならともかく、そうでなければ本人の選択を最優先させてあげたい。
できれば本人が「日本でやりたい!」といえる、魅力ある日本プロ野球であってもらいたい。

そう思う今日この頃です。

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