今のところ、iPadが有効に使えるシーンは、医療、ファッション、広告の世界だと思っている。医療は電子カルテ、ファッションは衣装合わせや髪型、メイクのシミュレーション、広告は適切なプレゼンやサンプルの提示など。そんな中、医療でもちょっと異なる使い方で大きな効果を得られた事例が紹介された。
ここでは佐賀県の救急搬送における受け入れ先を効率的に検索できるようにしたシステムを紹介している。
この10年で7000人ほど増えた搬送者の影響で搬送の平均時間も長くなり、重症ではない患者を救急センターに搬送してしまうなどの問題を抱えていた。
iPadを端末として救急車に導入し、救急隊員が患者の状況を入力したり搬送先を検索したりできるように改善、搬送先のミスマッチも無くした。
その結果不要な救急センターへの搬送が減り、救急患者の搬送時間も一分短縮、運用コストも4000万円節約できたとのことだ。救急患者の搬送で一分の短縮は生命の維持に大きな影響があるだろう。
このシステムが好評で、群馬県・岐阜県などでも使われることになるそうだ。
アップルが初めてiPadを発表したとき、我々はパーソナルコンピューティングの変革を期待した。マルチメディアの取り扱い、モバイルコンピューティングの進化に瞳を輝かせた。
しかし今、現実としてiPadは救命に役立ち、人の命を救っている。はたしてスティーブ・ジョブズもここまで予見できていたのか。それは分からないが、新たな技術が人命を救うために有効利用されているのを目の当たりにするとITの世界も悪くないんだなと思ったりする。
自分の仕事が世間の役に立てば嬉しい、それってこういうことなのではないだろうか。可能であればそんなシゴトをしたいものだ。