拝啓@odaijiです。
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このエントリーの流し読みっ!
勝負の第一局、見事阿部四段の勝利! 相手に攻めさせて息切れしたところからうまい反撃を見せた! 注目の第二局は3月30日!
人間vsコンピューター 将棋「第2回電王戦」第一局はいよいよ今週末!今後を占う重大な一戦だ。
で予告した「第2回 電王戦」第一局は、見事、阿部 光瑠四段がコンピューター将棋プログラム「習甦(しゅうそ)」を113手で破り、人間チームが先勝しました!
近未来な将棋を予感させるネット中継
対局は、東京・千駄ヶ谷の将棋会館・特別対局室で。大盤解説や中継は東京・六本木のニコファーレで行われました。
ニコニコ生放送での中継は
レーザー光線風の将棋盤が中央にありますが、このあたりは実際にファンが座っているところで、正面のモニターや大盤を使って、プロ棋士が解説されています。
画面右側の緑が阿部四段サイド、左側の青が習甦サイドです。
▼阿部四段のプロフィールはこちらです。
棋士紹介:日本将棋連盟
一事はコンピューター優勢?の判断もされていた
僕が見ていた感触からすると、先手の阿部四段が「一手損角換わり」という戦法からうまく習甦に攻めさせ、攻めが一息ついたところで完璧なカウンターで勝利したように見えました。
しかし、コンピューター将棋が内部の演算で形勢判断をしていたところでは、コンピューター有利、の判断もあったようです。
▼14時15分くらいの段階では、コンピューターやや有利の判定も。
だいたい、プロならもう逆転しない、というレベルが1000点くらいのものですが、一時、コンピューター側に500点くらいつくくらいの評価もされていたようです。しかし人間の目からみたら人間有利じゃないの?というところもあり、人間とプログラムの評価の別れが大変興味深い戦いでした。
感じとしては、阿部四段が習甦に攻めさせてそれをうまく受け切っていたような感じだったのですが、その習甦の攻めのところでコンピューター側の形成有利の判断があったもようです。
端の位が生きた
将棋では序盤に、王将の逃げ道を広げるために、端の駒を動かしてスペースを広げることがあります。
お互いに端の駒を進めることで、的の懐を広げすぎないような工夫をすることもあります。
今回、習甦、阿部四段の端の駒の動きに応対することなく、阿部四段は端の広さを確保することができました。
これが終盤にとても大きな価値を得ることになります。
阿部四段の王様は終盤、絶対に詰まない形(将棋界の言葉で「Z(ゼット)」といいます)になります。あとは余計な駒を渡さずに相手の王様を攻めればよいという、プロ的には負けない形をうまく築いていきました。
反対に習甦側の将棋は端を広げていなかったため、終盤に、阿部四段に速く確実は攻撃をモロに喰らってしまうことになりました。
コンピューター将棋に比べて人間の方が、端の価値を認めているのかもしれませんね。
奇しくも・・・が続く
そもそも第1回電王戦は、故・米長邦雄永世棋聖が、コンピューター将棋「ボンクラーズ」に敗北を喫しています。
第2回電王戦・第一局は、米長永世棋聖がボンクラーズに負けた手数・113手で、阿部四段が習甦に勝ちました。
そして今回の対局、「米長玉」という、端に王様を寄せる形を、阿部四段も習甦も見せました。
なんだか偶然に思えない、何かの強い力が働いているのではないか?そんなことを思わせた今日の対局でしたね。
対外試合の緊張と興奮
ペナントレースで野球をやっている選手と、その選手が国の代表としてWBCで野球をやっているのでは、見ていても緊張感が異なっていました。基本的に負けてはいけない試合が続き、僕たちを代表して、日本の代表として戦ってくれている選手を見ると、試合観戦の興奮も違うものですよね。
今回の対局にも、そのような対外試合、真剣勝負の緊張がありました。
そのせめぎあいというか、まだ認めたくないという気持ちというか。
普段はNHKの将棋トーナメントを見ていますが、それとはまったく違う、真剣で切りあうような緊張の対局を見ることができました。
これだけ真剣な勝負。競技が何であっても、面白いですね。
対局終了時、ニコ生の来場者は21万を超えていました。コメントは40万に届こうとしていました。世間の注目もわかろうというものです。
第二巨億は3月30日
第2回電王戦は合計5局。今日を皮切りに5週にわたって、毎週土曜日、プロ棋士vsコンピュータープログラムの代表での対局が行われます。
第二局は佐藤慎一四段vs「Ponanza」です。プロが2連勝なるか、ソフトが勝ってタイに持ち込むか。注目ですね。
▼佐藤慎一四段のプロフィールはこちらです。
棋士紹介:日本将棋連盟
システムエンジニアが本業の僕は、ソフトウェア将棋の進化もうれしいところながら、やっぱり人間に勝ってほしいと複雑な心境ではあります。
第一局を見逃した方も、来週の土曜日、ぜひご覧になってはいかがでしょうか?