これまでも結構寡兵で大軍を破ってきた黒田家ですが、最大のピンチが訪れるわけです。
織田信長さんに追われた将軍・足利義昭さん、備後の鞆の浦(とものうら)で毛利家に庇護されます。
信長さんからは全く存在価値がなくなってしまった義昭さんですが、古き体制が大切な毛利家からは使い道があるようで・・・。
義昭さん、それを知ってか知らずか、将軍さんらしい態度で毛利家の重鎮・小早川隆景さんに「エッヘン」ってやってます。
当主の毛利輝元さんの名代としてやってきたらしいけれど、本当に大切なら輝元さんがくるものだけれどね・・・。
毛利は「足利幕府再興」という大義名分を手に入れたわけですね。
これで一向宗・本願寺と組んで織田を攻めることが存分に可能になりました。理屈上は。
一度は敗れた「信長包囲網」、形を変えて再びはじめよう、ということなんですねー。
たくらむなあ、足利義昭。
~ 目次 ~
英賀合戦
そして、英賀の港に毛利のおびただしい船団がやって参りました!という部下の報告が来たところで第10話のスタートです。
この時毛利は5000の大軍。黒田は500の動員がいっぱいいっぱいという状況で、大ピンチなのでした。
姫路の町中は大わらわです。家中の女子は米を炊いたり、兵の準備をしたり。
英賀の浜への上陸シーン。大量の物資も浜に張った陣に物資を運びこんでいる模様。黒田家の物見(偵察)から、兵力が5000と推定されました。
圧倒的不利な数字ながら
「地の利は我が方にある!」と鼓舞する官兵衛。そりゃそうだ。大将は不利な状況でも鼓舞せんとね。
小寺家。
5000という数字を聞いて「だから信長と組まない方がいいのにぃ~」と嘆く小寺の殿。相変わらずのダメっぷり。
このころ織田信長は摂津で一向宗と戦っていました。足を撃たれる信長さん。大苦戦です。
この「信長を撃った男」というのが主人公の大切なキャラクター設定になっている小説もあったりします。
浦さん
毛利軍。英賀のお堂に構えた陣の大将は、浦 宗勝さん。
乃美 宗勝さんですよ、といえばわかりますかね?毛利の大黒柱・小早川隆景の水軍の将として数多くの戦を経験している「もののふ」です。
毛利の軍には一向門徒も集結。前回、黒田家を去った女中もおにぎりを配るなど、「地元の一向宗」の活動を頑張ってます。
グダグダ
小寺の本陣。英賀に陣を張ったことが知れ慌てふためく小寺の殿。小寺の重臣も官兵衛を責めます。
小寺軍は1000、毛利家が5000というのがドラマ中の数字。
そりゃ、前回で竹中半兵衛さん、どうしようもない小寺家なんて・・・って官兵衛さんに言っちゃいますよね。
さて、困ったことに、先週同じサイドに立ったはずの、別所・赤松・織田さん、援軍の要請はしたものの動いてくれないみたいでして。官兵衛さんもお困りのご様子です。
つまるところ、黒田500が毛利5000と当たることになりました。
急襲
急に攻めてくる気配のない毛利に対して、黒田は栗山さんを敵中に潜り込ませて様子を見ます。
「5000の大軍と戦うのは初めて」という官兵衛さんに「考えるのだ、官兵衛」と激励するお父さん。相変わらずの親子愛。
陣で酒を酌み交わしている余裕の毛利陣。潜入した栗山さんもいましたが、あららら・・・、先週黒田家を去った女中と目を合わせてしまいました。ただし女中さんが呉音からか栗山さんを見逃してくれて。微妙な人間関係ですな。
で、見逃された栗山さん、状況を本陣で報告。
「いったん兵を引き上げて籠城したら援軍がくるんじゃない?」
という小寺の殿さまですが、
・持久戦は不利
・大軍で敵は我々を侮っている
・霧が多い天気なので朝駆けをしてやる
という作戦で毛利軍を蹴散らそうと官兵衛は提案します。
小寺家のために働いているのに、いざというときに全く頼りにならない小寺家。心中お察し申し上げます、としか。
黒田の領地の町中にシーンが映ります。
官兵衛さんのお父さんが黒田家の領民さんらにお願いごとをしています。細かく描写されてはいませんが、要は
というお願いを、お父さんが領民にお願いしたということなんです。非戦闘員を臨時で雇用したような感じです。
農民に旗を持たせて英賀から距離のあるところに構えて「どんちゃん」させ、織田の援軍があるように見せかけたんですね。
で、黒田軍は酔いつぶれている毛利軍に朝駆けを仕掛けます。
早朝に仕掛けた有利さと、遠くから見える織田の旗(農民の偽装)で毛利軍を見事、追い払います。
撃退したとか殲滅したとかではなく追い払っただけとはいえ、500人しかいない黒田軍は5000人の毛利軍に勝ったのです。
だからいざというときにしっかり協力してくれたんです。
500の兵で5000の兵を追い払ったという方に目が行きがちですが、黒田家と領民の信頼関係を感じてほしいエピソードです。
油断大敵
小寺の殿に追い払った報告をする官兵衛さん。
「やっぱ官兵衛の言う通りにすればいいじゃん!」
とま~た手のひらを反す小寺の殿。
また攻めてくるから油断しないでね、と釘をさしておくことは忘れない官兵衛さんでした。
一通り戦が終わって、奥さんの光さんに「此度はダメかと思った・・・」と恐怖していたことを告白する官兵衛さん。ようやく弱いところを見せることができたんですね。
まあこの後、何万もの兵を余裕で扱う人になっちゃうのですが、「5000の兵」を知ったことで、一つステップを上がったということですよね。
5000の兵で負けるなんて毛利ってだせえ!と愚痴る足利将軍。お前は何人兵を持ってるんだよ(笑)
小早川隆景、これは挨拶程度。次の戦も予定があり、そこで毛利の底力を見せてやるぞ、と足利将軍に胸を張って見せます。
戦後
織田軍、荒木村重が、500の黒田官兵衛軍が5000の毛利軍に勝ったという報告が入ります。
黒田家にも感状が送られ、小寺の殿も鼻高々。
英賀の毛利軍に居た女中さん3人ですが、戦の途中で焼け出された模様で
「恥を忍んで、傷が癒えるまで置かせてください」
と昔世話になった黒田家に頭を下げています。
許し、身の振り方はゆっくり考えな、と逗留を許した官兵衛さん。命の使い道を大切にする例です。
前回、あっさり織田の色に染まった播磨の中ですが、毛利がちょっと攻めてくる、と聞いただけで国内はがたがたになっています。
毛利の狙いはそこでしょう。次回は10000、20000という大軍で来るかもしれない、と勝って兜の尾を締める官兵衛と官兵衛のパパ。
嘘のような本当の話
豊臣秀吉家のファミリードラマ。
秀吉さんの正室の「おね」さん、織田信長の元で、信長さんの正室・濃姫さんと主婦トーク。
おねさん、信長さんに、秀吉の女性関係を叱りつける手紙を書いてください!とお願いします。
大将の信長さんから女性関係の手紙を受け取ってワナワナする秀吉さんでした。
まあ、秀吉さんの女癖は生涯治らなかったんですけれどね。
女性が悋気するのは女性の役割だけれど、それをやりすぎてもいけないよ。秀吉さんを立てないといけないよ。
ここまで信長さんは「おね」さんに言ってます。
織田信長さん、延暦寺の焼き討ちをしたりもしましたが、どうしてどうして、男女の仲の事までお話できる粋人だったのかもしれませんね。
惚れたな・・・
黒田家内。
足を怪我して黒田家に戻ってきた女中さん、英賀の戦で栗山さんを見逃してくれた女中さんでした。
女中さん、黒田の家にはお父さんの代からお世話になっていて顔向けできない、と複雑な真鍮をお話します。
水汲みを手伝ってあげる栗山さん。感謝を述べつつ。
同僚の井上九郎衛門さん、栗山さんに「一向宗だよ、置いておいて大丈夫なの?」
栗山「大丈夫に決まってるだろ!」
井上「惚れたな・・・」
戦のあとの一幕でした。
怪我をした女中さんの一人に官兵衛さんが自ら、黒田家に伝わる薬を塗ってあげる優しいシーンも。
「われわれは門徒宗が憎くて戦ってるわけではない」と官兵衛さん。
そのシーンを誤解した女中や光さんの「浮気疑惑」コントもあって、ずいぶん幸せ感を出してますね。
一向宗・本願寺も結果的には許しています。変に武士の政(まつりごと)に口出しをしたり自堕落な生活をしているのが許せなかったということなんですね。
毛利強い!
さて大阪の石山本願寺、兵糧を送ろうという毛利軍と、それを阻止しようとする織田軍との間で戦になります。
ここで、先ほどの英賀の合戦で大将を努めた浦 宗景さんも大賞と大活躍してましてね。
この時の織田の水軍は、三重県の津市あたりを本拠にしていた九鬼氏だったのですが、焙烙(ほうろく)を受けて叩きのめされたらしいですね。「第二次木津川口の合戦」もありますので、お話はまた今度・・・になるかな?
この報を聞いて「やべえ!」と黒田家がなったところで今週は終了。
500対5000
黒田官兵衛が本格的に豊臣秀吉に使えるまでには小さな戦をいくつも経験しています。
そのなかで、この英賀の戦は最も大変だったものの一つでしょう。
僕たちは歴史として知っている事実ですが、この時の現場を想像するとものすごいことだったのではないでしょうか。
毛利家が大軍であることに驕らず、きっちり攻める姿勢を見せていたらどうなったのか・・・。
それを見逃さなかった官兵衛さんはの機を見るに敏なところが、やっぱり大器なんですね。
何も努力せず得ている地位ではなく、実績を残していることが良くわかるエピソードでした。
英賀の城の城主は官兵衛さんの義理の兄弟なのですが、熱心な門徒さんでもあったようです。なので、毛利家が一向宗に味方したタイミングでこの城主さんも毛利に味方し、大ピンチになったわけなんですね。