現在最も長く連載されているであろうボクシング漫画「はじめの一歩」。
ネタバレですが、2014年8月27日発売号で幕之内一歩はプロ2回目のKO負けを喫してしまいます。
僕は「主人公が負けるスポーツ漫画」が好きです。
力石やタイガー尾崎、ホセ・メンドーサに負けた明日のジョーしかり、花形や伴宙太に大リーグボールを打たれた巨人の星しかり、新田君に打たれたタッチしかり・・・。敗北してそこから何かをつかんで復活する、そこが大好きなんですよね。
主人公が勝ちっぱなしのスポーツ漫画、あんま興味ないです。
そういう意味でも、プロ2敗目を喫したはじめの一歩は良い漫画だなあと思います。今後の復活に期待。
~ 目次 ~
で、はじめの一歩
で、今週のはじめの一歩ですよ。
ロープを背にする対戦相手にがんと突っ込む一歩。
当たるか!と思った瞬間に対戦相手のカウンターの、決してロングレンジではないパンチが一歩の顔面にめり込んでいきます。
顎を正面から押し込まれた形になり、必然的にうなずくような形で首が曲がって前向きにノックダウン、そのまま失神KO・・・。
そう、このシーン、ボクシングファンなら衝撃を感じた2012年のあの試合ですね。
パッキャオvsマルケス4
それは2012年の12月9日に日本で放送された(試合日は多分12月8日)、フィリピンの英雄というより、アジアボクシング界を一人で底上げさせた超スーパースター、マニー・パッキャオと、メキシコの素晴らしいカウンターパンチャー、ファン・マヌエル・マルケスとの4度目の対戦。ここでのKOシーンです。
YouTubeに映像が残っているのですが違法性のある可能性を考えると軽々にリンクを張ることができません。
Pacquiao Marquez 4
などで検索をかけてみると見られるかもしれません。6ラウンドの終了間際です。
この時のKOシーンが様々にスロー再生されているので、どうぞ一歩の漫画と見比べてみてください。これは間違いないんじゃないかな、そう思っています。
ちなみに同じカードが4回行われるってボクシングの興行でも異例中の異例。過去3回の試合が大接戦であり、判定に様々な議論を呼んだ試合でもあったんですよね。
画で残すってすごい
ちょっと話がずれます。
葛飾北斎の神奈川沖浪裏、という浮世絵をご存じですか?各所から見られる富士山を描いたシリーズ・富嶽三十六景の一枚です。
(こちらの画像)←クリックすると別ウィンドウで画像が開きます。
なのですが、これが、ハイスピードカメラどころか写真技術のなかった時代に描かれていることを考えると、衝撃を感じても良いのではないかと思います。
荒れる海、波の裏側、しぶきの躍動感。どれをとっても人の目で瞬間瞬間のシーンを焼き付けて描いたものとしては驚きを感じずにはいられません。
で、今週の「はじめの一歩」。パッキャオとマルケスの試合を作者の森川ジョージさんが描いた画だと思ってみると、やっぱり「画ってすごい」って思ったりしちゃうわけで。
試合のスロー再生の映像も見られるのですが、それの別表現。実際には飛び散っていない何かが飛び字っているような表現とか。僕はこのシーンを好意的に観られて、ああ、あの名シーンを漫画で再現できてうれしいなあと思っています。
森川ジョージさんはボクシングファン
森川ジョージさんはボクシングファンというのは結構有名で、「はじめの一歩」の重要サブキャラであるミドル級の高村選手が最も苦戦した相手の一人である「ブライアン・ホーク」という選手は、フェザー級でファンの多かった「ナジーム・ハメド」という選手をモデルにしていることがよくわかります。
ナジーム・ハメドで検索すると、いかにトリッキーで面白いボクサーだったかはわかると思います。
ぜひ現物で確認してみて
話題が「権利もの」なので画像やらなにやら出せなくて味気ない記事になってしまっているのが恐縮なのですが・・・。
とにかく今週の「はじめの一歩」と「パッキャオvsマルケス4」のKOシーンを見比べてみると、とても意識されているんだろうなということが伝わります。
ボクシングファンも漫画ファンも、画の好きな方も、一度両方をご覧になってみていただけると嬉しいなあ。