豊臣秀吉さんの死、そして即座に反応する徳川家康さん。
「勝負に出るぞ!」
ここまで溜めに溜めてきた人望・兵力・地位を一気に爆発させて天下取りを狙う家康さんと
「天下は秀頼のもの。徳川などに、奪われてなるものか」
秀吉さんの嫡男・豊臣秀頼さんを産んだ淀の方、そしてそれをサポートする石田三成さんの対決。
「善助、忙しくなるぞ。天下は再び乱れる」
と黒田家筆頭家老の栗山善助さんに語る我らが黒田如水さん。
三者三様の状況がオープニングとなって、スタートです。
~ 目次 ~
帰国
秀吉さんの死がきっかけで朝鮮出兵に出ていた兵たちは帰国の途につきました。士気にもかかわるので秀吉さんの死については触れられませんでしたけれど。
「みなよう戻った。大義である」
帰国した黒田の家臣を出迎えた如水さんに対し、ただいまの挨拶もそこそこに
「父上、三成が博多に迎えに来ておりました。どの面下げてこられたのか。朝鮮から戻ったものは恩賞もなく、三成への不満が渦巻いております。あやつだけは断じて許せません!」
と豊臣家の奉行・石田三成さんへの不満を吐き捨てるのは、嫡男・黒田長政さん。
「長政、むやみに争いに巻き込まれるな。今は形勢を見極めよ。
・・・みな、今宵はゆるりと休め」
如水さんは落ち着かせます。
一方、朝鮮出兵組のなかでも三成さん寄りの武将・小西行長さんは、おそらく大阪城の執務室のようなところで、石田三成さんと会話。
「疲れたであろう」
という三成さんに
「それにしても長かった・・・7年にもわたる戦。得るものは何もなく、仲たがいが生まれただけだった・・・。
加藤清正、黒田長政は我らを目の敵にしておる」
朝鮮出兵が秀吉さんの失策だったという流れでいるんですね。三成さんも行長さんも。
まあでも目下の話題は、五大老筆頭で天下さん奪を狙っていると思われる家康さんへの注意の話に進んでいきます。
「このままでは徳川に付け入るスキを与えるばかり。豊臣家の御ためにも、何か手を打たねばならぬ」
三成さんが言うと、行長さん、思い出したかのように三成さんに言いつけます。
「わしは、朝鮮から兵を引く折にあやつのせいでひどい目に遭うたぞ」
三成さん、讒言を嗅ぎ取る嗅覚は天下一品です。
「何があった・・・」
世が乱れる
帰国した黒田の重臣たちは久々に日本のゆっくりした食事・酒を取ながら今後について語っています。
「世が乱れる?」
どうやら如水さんがそういった、という話をきいて、ほう、という顔をしているのが又兵衛さん。そのことを直接聞いた善助さん、
「今の五大老・五奉行による政(まつりごと)がそう長く続くとは思えぬ」
黒田の重臣・井上九郎右衛門さんも
「徳川殿が、どう出るかだ」
と物事の本質が分かっているようですね。
戦になるだろう、という見立ての中、善助さんは
「かつて信長公が倒れられた際、大殿(如水さん)は太閤殿下を一気に天下人に押し上げなさった。此度も、必ず動かれる」
もはや確定です。
九郎右衛門さんは
「その『こたび』は、どう動かれるかのう」。
「それはお心次第じゃ」
と善助さんも返します。まだ如水さんの腹の内はわかっていないけれど、如水さんの決めることなら間違いはないだろう、という絶対的な信頼があるんですね。家臣からの信頼が厚すぎる。
「面白くなってきそうじゃ」
と腕を撫すのは重臣の中でも腕力に自信のある母里太兵衛さん。
徳川家では、秀吉さんの子飼いの大名が諍いを起こしているのを楽しく観察している模様です。内部が乱れれば乱れるほど、家康さんは天下を取りやすいですもんね。
「黒田・加藤・福島正則ほかを我が方に取り込みましょう」
豊臣家に悪を為す石田三成を取り除くために、五大老筆頭の徳川家康が動いた
という構図を作れますからね。
「そうたやすくはいかん。気になる男もおるしな」
と家康さんが言ったあとにシーンが切り替わって登場したのは、もちろん如水さんです。
気鬱
如水さんと長政さんは上洛し、如水さんの奥さん・光さん、長政さんの奥さん・糸さんと会話します。
ここではじめて長政さんは娘さんとご対面。お菊ちゃんと言うんですね。
「糸、良くやった。」
とここまではほのぼのなのですが・・・。
次いで長政さんが言った
「母上、私はこの子が熊之介の生まれかわりに思えてなりませぬ」
という言葉で糸さんの表情が一変、その場を立ってしまいます。
長政さんはいろいろわかっていない様子です。
派閥工作
徳川家にご挨拶に伺っているのは、黒田長政さん、福島、加藤の3名。そこで家康さんから
「小西行長が挑戦での所業についておぬしたちを訴えた」。
と衝撃の一言を。
まだ小西さんが引き上げていないのに朝鮮の町を焼いてしまったことに腹を立てているということで、
戦術上仕方なかったというのが「戦を知る者」の常識だと思いながらも
「裁きを行う者が、戦を知っているものだとよろしいが・・・」
と暗に三成さんとの喧嘩をけしかける家康さんの重臣の言葉もあり、長政さんが
「三成でございますか」
といらだちを隠せません。
「お主たちのかの地での武功を思えば、このような訴えを取り上げることはないと、わしは思っておる」
家康さんは3人に暖かい言葉をかけます。
思えば秀吉さん存命中は、家康さんは自分の考えを他家の武将には容易に語りませんでした。
しかし秀吉さん亡き今は堂々と話せるようになっているんですね。
ただし、家康さんがどう思っていても、現行の「五大老・五奉行」の制度の中ではなにごとも合議で決めなければならず、家康さんの一存で訴えを退けられないという状態なんですね。
でも家康さん、策があるのか・・・
「このような理不尽、黙ってはおれぬ。できる限るのことはいたそう」
この言葉で長政さんら3名の心は家康さんに傾きます。
前田利家
大阪城の上座に座るは、まだ7歳の豊臣秀頼さん。そばには秀吉さんの正妻・北政所さんと淀君が。
下座には、三成さん、家康さんに加えて、五大老の有力者の一人・前田利家さんがいます。利家さん、このドラマでは初登場じゃなかろうか。
北政所さんが
「秀頼、いくつになりました?」
と聞くと秀頼さん
「七つでございます!」
とはきはきとお答え。
「はっはっはっは。明るく活発なご気性、太閤殿下によう似ておられる・・・ごほっ、ごほっ」
とせき込みながら褒めるのが前田利家さんです。
北政所さんは利家さんを心配しますがまあ大丈夫、と。
「殿下がお亡くなりになり、豊臣家にとって今が大事な時。寝込んでなどおられませぬ」
と利家さんが言いつつ、じっと家康さんの方を見据えます。家康さんは目を合わせず、じっと上座を見つめます。
「これより太閤殿下のご遺言に従い、加賀大納言殿(利家さん)には秀頼君の貢献として大阪にご入城、内府様(家康さん)には伏見へお帰りいただきまする」
とは三成さんの言葉。
「太閤殿下がお築きになったこの大阪城で、この前田利家、秀頼君を立派な天下人にお育てしましょうぞ」
利家さんが語れば
「良かったですね、秀頼」
というのは淀の方。史上最強のお母さんですな。良かったですね、と言いつつ、きっつい敵視の目線を家康さんに投げつけています。
その目線を受け流した家康さん、
「前田どのが秀頼君についておられるなら、何も心配することはござらん」
と牽制球。
三成さんが話題を転換します
「そして、北政所様には・・・」
「わかっておる。私はここを淀殿に譲り、西ノ丸に移ります」
淀殿はニヤニヤ。本当に悪い女だ(笑)
西ノ丸にやってきた長政さん、北政所さんに
「何故淀の方に本丸をお譲りなさるのか。かかさま(北政所さん)はこの城の女あるじ。秀頼君とお暮しになればよろしいではございませぬか」
北政所さんは人間が出来ているというか。
「私が本丸に居座れば争いになる。それを避けたまで。お前も三成と無用な争いはなりませぬぞ」。
無用な争いはやめなさい。まだ十分に様子を見なさい、というのは如水さんと同じことを言ってるのですが、長政さんはまだわからぬご様子。
「もはや避けられませぬ」。
仕掛ける
ある日の夜、馬にのって走る家康さんが。三成さん、小西さんに加え、五大老の一角・宇喜多秀家さんにも不穏な動きがあったそうで、と後藤又兵衛さんが如水さんに報告します。家康さんを亡き者にしようという動きがあったらしいということなんですね。
まあこれは黒田家には看破されてしまい
「そういう噂が出れば三成を憎むものの怒りに火が付く」
「石田方も守りを固めれば、おのずと戦の機運が高まる」
「何かの拍子に矢の一本でも放たれれば即合戦となろう」
場を治めることが大切になってきますね。如水さんが
「善助」
というだけで阿吽の呼吸の善助さんは
「は。徳川どのの動き、探って参ります」
と部屋を出ます。早い。
大阪城では三成派の人たちが「聞いてないよ!」状態。
「家康の謀略に決まっておる」
と落ち着いている三成さんですが
「家康は着々と味方を増やしておるぞ。縁組じゃ。蜂須賀家・福島家へ養女を嫁がせ、さらに伊達とも話を進めておる」
と報告するのは増田長盛さん。
さすがにこれは聞き捨てならない。秀吉さんの遺言を無視した行為ですからね。
「追い落とすのは今しかない。徳川以外の四大老を取りまとめ家康を問いただし、大老職を返上させる」
三成さんが策を考えました。
行長さん、長盛さんらはほかの四大老に話を付けに行きます。そして家康さんを詰問しに行ったのは、五大老・五奉行と似通った格にあった三中老の一人・生駒親正さん。
生駒さんに対し家康さんは
「それはうかつであった。てっきり媒酌人が届を出しているものだと思って負ったが。ははは」
と涼しい顔。
「勝手な縁組は、亡き太閤殿下のご遺言を蔑ろにするものでございますぞ。徳川どのの勝手な振る舞いは目に余る。大老のお役目を果たしておらぬ、というのが、ほかの大老・奉行衆のお言葉でござる」
家康さんは芝居がかったセリフで生駒さんを恫喝します。自分の左手を右手でさすり、
「この手を、最後にお会いしたとき殿下は、それがしのこの手をお取りになられて、『頼む、頼む』と仰せであった。その太閤殿下じきじきのご遺言に従い大老職を務めておる。それを止めろと申されるか。
それこそ、ご遺言を蔑ろにするということではないのか!?」
家康さんの恫喝に耐えられるほど生駒さんは大人物ではありません。
これをきっかけに、
家康派・三成派
が一触即発の危機を迎えてしまいました。
徳川家には鎧姿の加藤・福島両氏が。
また、黒田家も戦支度をはじめてしまっています。
これも鎧姿の長政さんに対し平伏の如水さんがやってきます。
「どうするつもりじゃ、長政」
「徳川さまの警護に、伏見に参ります。先だってのこともあり、三成とその一派がいつ徳川さまの屋敷を狙うかわかりませぬ。」
「おちつけ。これ以上、騒ぎを大きくしてはならぬ。徳川の思う壺じゃ。わからぬか!徳川どのは争いを欲しておる。ここで下手をすれば、黒田は使い捨ての道具にされるぞ」
「指をくわえて成り行きを見ていろと申されるのですか?それでは黒田の義が立ちませぬ」
長政さんは猛反発します。
「父上、わかっております。道具になどされませぬ。黒田の当主はそれがし。お信じください」
戦支度の長政さん御一行は伏見に向かってしまいますが、最後に出ようとしてる又兵衛さんに、如水さんは声をかけました。
「お主が軽挙妄動を抑えよ。この諍い、断じて戦にしてはならぬ」
如水さん、このタイミングでの戦争は望んでいません。
老いておられる
大阪の前田屋敷にシーンが移ります。上座には前田利家さん。下座には三成さん。
三成さんが進言します
「家康はこの機に乗じて、豊臣の乗っ取りを図っているに違いありませぬ」
「そのようなこと、断じて許せん」
「ここは我ら奉行集と残りの大老の皆様で合力し、加賀大納言・前田利家さまを中心に政を・・・」
と、こんな話をしているところに取次の人が。
「申し上げます。黒田如水さまと細川忠興さまがお目通りを願っております」
如水さん、動きましたね。
利家さんに如水さん、何を言うのかと気になるところです。挨拶もそこそこに利家さんがジャブ。
「黒田さまは、徳川様に肩入れしておられるのでは?」
「前田様、あなたは天下人にはなれませぬぞ」
なんかあおり系のプレゼンの手法ですね。衝撃的な結論を最初に持ってきました。
「ここで四大老が力を合わせ伏見に攻め込めば、あるいは徳川さまを討てるやもしれません。徳川さまを討てば、大老筆頭は前田様となる。
・・・されど、あなたの病は重く、もはや長くはない・・・。それは、ご自分が一番おわかりのハズ」
「無礼な!」
と叫ぶのは利家さんの嫡男・前田利長さんですが軽く諌めた利家さん。如水さんは続けます。
「天下の重石たるお二人なくしては、間違いなく世は乱れまする。和睦をなさるのは、天下万民のためにござりまする! なにとぞ、ここはお引きいただきたい・・・」
正論過ぎて利家さん、ぐうの音も出ません。
(・・・また如水に止められたよ・・・)
と口惜しさいっぱいなのは傍らにいた三成さん。秀吉さんの威光なく筋道の話をしたら、如水さんに勝てるはずがありません。
戦の種を摘み取った報告を北政所さんにしているのは如水さん。
徳川も前田も矛を収めた、ということらしいですが
「これで済むとは思えません」
と如水さんは安心していません。
北政所さん、衝撃の一言。
「豊臣の天下は、秀吉一台限りのものと私は思っています」
次いで
「秀頼はまだ七つ。天下を治めるにはいささか時がたりませぬ」
真意は、太平の世が続くなら徳川でも前田でも良い、ということなんでうすね。視野が三成さんや淀の方よりも広いみたいです。
「もっともふさわしき方が天下人となればよい」
え?なんでそんなに如水さんを見つめて笑ってるの?何か誘ってる?
黒田家では如水さんと家老の善助さん、九郎右衛門さん、太兵衛さんが戦が乱れることについて話しています。そして、誰が天下を治めるのかを。
太兵衛さんいわく
「わが大殿ことが、天下人にもっともふさわしいのではござらぬか」
というと、先だっても話題に上がっていた通り、如水さんがどう考えているのかを知りたい三人が如水さんに考えを聞きます。
如水さん、夕日を見つめながら、死ぬ間際の秀吉さんの言葉を思い出します。
「何故おぬしほどの男が、天下を狙わん・・・!?」
・秀吉さんが死んで時代の移り変わりがあろうとしていること
・秀頼はまだ幼少であること
・家康はまあまあ勝手に自分の天下を望もうとしていること
・淀の方にも三成にも天下泰平の視点がないこと
そんなことが頭をよぎっているのでしょうね。
徳川家では、戦を事前に沈めてしまった如水さんに一本取られてしまい、しかも怒るに怒れない状態になってしまっていまして。
黒田家は豊臣内の重要な家臣団であることは間違いなく、嫡男で当主の長政さんだけでなく、ご隠居の如水さんをいかに引き入れるかが大切である、という認識を持っているようです。
家康さん
「黒田を離してはならぬぞ」
とここだけは重臣に釘を刺しています。
そこへやってきた家康さんの姪の栄さん。どうやら養女にしてどこかに嫁がせようとしているようでして。
糸
黒田家の当主サイド。長政さんと又兵衛さんが飲んでいます。
「父上が間に入ったことで戦が避けられたが、果たしてそれで良かったのか」
と長政さんがすこし悔やんだご様子ですが、又兵衛さんは
「大殿は軽挙妄動を慎めと仰せにございます」
と、先だって如水さんに言われたことを語ります。長政さん、それが気に入らない。
「それを父上は何故おぬしに言うのだ。わしに言えばよいではないか」
自分が熱くなってることに気づいてないんですね。
「殿は石田殿憎さのあまり、目が曇っておいでです」
「そのようなことはないっ!」
長政さんの言うことに納得のいかない又兵衛さんは、一礼して去ってしまいます。
その後糸さんからのお酌を受けている長政さんですがそこでお菊ちゃんの鳴き声が聞こえてきます。
「菊が泣いておるぞ。聞こえんのか?」
という長政さんに
「聞きとうございませぬ」
と糸さん。糸さんはずっと責められているような気がしているんですね。熊之介さんを見過ごしてしまったこと、結婚14年で女の子一人しか産めなかったこと。
「なんの価値も持たぬおなごでございます。いっそ離縁してくださいませ!」
「いい加減にしろ!」
糸さんも部屋に戻ってしまいました。
長政さん、又兵衛さんといい糸さんといい、大事な人との連携がうまくできていないですね・・・。
そこにまずい方のビッグニュースが・・・
利家、死去
この週、病気を抱えた状態で初登場した前田利家さん、早くも病気で亡くなってしまいました。
五大老のバランスは親秀頼の利家さんと反秀頼の家康さんのバランスで保たれていたようなものですが、そのバランスがついに崩れてしまったのですね。
利家さんの死を悲しむまでもなく、その夜にいきなり長政さん・加藤清正さん・福島正則さんは三成さんを討ちに出ます。
「出陣じゃぁ!!!」
軽挙妄動ですよ・・・困ったね。
三成さんは女輿に乗って逃げます。その逃げ込んだ先は・・・なんと、徳川家康の屋敷!
「考えよったな」
家康さんはそれなりに関心しています。
鎧姿の黒田・加藤・福島は家康さんに三成引き渡しを求めますが、かくまわれて家康さんの家老三人と話している三成さんは
「徳川さまはわしを引き渡したりはせぬ。もしわしが殺されれば、引き渡した徳川殿も豊臣家に弓を引く逆賊の一味。天下を狙う大悪人であることが世に知れ渡ってしまうからのぅ」
と自信満々。
呼応したかのように家康さんはあの三人に
「大名同士が争うことはご遺言で禁じられておる。今日のところは引き取られよ。この家康が双方の言い分を聞いたうえで裁きを下す」
「しかし!」
という清正さんに対し
「これ以上伏見の城下を騒がすというのであればそれがしがお相手いたす」
と次の大物の貫禄を放ちました。これでは3人は三成の首を取ることができません。
三成さんはヒヒヒと笑い、してやったり。
対照的に悔しがる三人衆。
決断
日も改まり、家康さんの元に現れた如水さん。
「本日はお詫びに参りました。愚息・長政が押し掛けましたそうで。ご迷惑をおかけし、申し訳もございません」
「お手をお上げくだされ、如水どの。そもそもこの騒動は、三成と小西行長がありもしない罪を言い立て、ご子息らを追い落とそうとしたことが始まり。長政殿の気持ちもわかる」
如水さんに好意的な話し方です。
「若い者は、血の気が多くて困りまする」
「まったくじゃ。何かと言うと力に頼る。ようやく太平の世が訪れたというに、こんなことでは、以前に逆戻りじゃ」
如水さんが訊きます
「やはり、世はまた乱れましょうか」
家康さんは目をこすりながら
「お主は、どう思う?」
と如水さんに問います。
「それは、あなた次第・・・」
「それが答えか・・・。ふ、わしには逆心など毛頭ない。ただただ秀頼君をお守りするのみ」
家康さんの狸な回答に、如水さんは質問を変えました。
「三成はいかがなさるおつもりか」
「これ以上騒ぎを大きくしたくはない。三成には隠居させる。奉行職を免じた上で、両国・佐和山に蟄居させればよかろう」
「隠居とは・・・。それでは火種は消えませんぞ」
「では、首を取ればよいと申されるか?」
ここで如水さんが、ちょいと切れました。
「何が狙いじゃ・・・っ」
家康さんがなぜ政敵の三成さんを殺さずに生かすのか。今なら大老筆頭の座を利用して三成をどうとでもできるのに。そして三成を殺せば天下は転がり込んでくるのに。
なぜ殺さないのだろう?
如水さんは家康さんの真意を問いました。そしてその答えに如水さんはある決意が固まります。
伏見城を去らんとする如水さんのシーンで、先ほどの質問に対する家康さんの言葉が回想のように流れます。
「命には、使い道がある。黒田に伝わる教えと、ご子息長政どのから聞いた。実に良い教訓じゃ。石田殿の命にも、まだまだ使い道がある。違いますかな?」
ここで家康さんの真の狙いがはっきりしました!
黒田、立つ
「徳川の狙いは、天下を揺るがす大乱じゃ。生かされた三成は、死にもの狂いで味方を集めるだろう。国中の大名が迫られる」
如水さんが家康さんの狙いを重臣に語ります。
「そうして三成に兵を挙げさせ、敵対する者たちを根こそぎ滅ぼし、天下を奪い取る」
善助さんが答えれば
「そうじゃ。それが徳川家康の天下取りじゃ」
と如水さんは結論を出しました。
「数え切れぬほどの死人が出ますな」
と九郎右衛門さんが言えば
「大殿はいかがなさるので・・・?」
と太兵衛さんが訊きます。
如水さんは、黒田は黒田でも、長政さんとは別動なんですね。こう語ります。
「三成にはつかぬ」
「では、徳川どのに」
と善助さんが言いますが、しばしの沈黙のあと如水さんが次のように言いました。
「播磨を思い出す。あのときもそうであった。織田につくのか毛利につくのか。生き残る道を必死に探った。」
九郎右衛門さんが上手な合の手を。「此度はどの道を?」
「生き残ることは無論大事!しかし・・・」
といってニヤリとしたあと
「ワシはわが道を行く!」
これは・・・如水さんの天下取り宣言にほかなりません!!!
ついに如水、天下を狙うっ。最後の大勝負にかじを切りました!というところで今週は終了。
豊臣政権末期の制度「五大老・五奉行」について簡単に説明します
をご覧ください。